2010 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下角度制御核磁気共鳴測定による新奇な量子秩序相の探索
Project/Area Number |
21340093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧川 仁 東京大学, 物性研究所, 教授 (10179575)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 高圧技術 / 強相関電子系 / 量子スピン系 / 量子相転移 |
Research Abstract |
(1)逐次磁化プラトーを示すことで知られている擬2次元直交ダイマースピン系物質SrCu_2(BO_3)_2について高圧下^<11>B-NMR実験を行った。これまでの研究から、0.3GPaの圧力で正方晶から斜方性への構造相転移が起こり、更に1.7GPa以上の圧力下で低温で併進対称性を破る磁気的な相転移が起こることが分かっている。今年度は2.4GPaの圧力下で磁気相転移温度以下の低温相で見いだされた2種類のダイマーの性質を調べるべく、3テスラ以下の低磁場下で核磁気緩和率、および超微細シフトの測定を行った。その結果、低磁場では2種類のダイマーはいずれも有限のスピンギャップを持つが,ギャップの値が異なることが判明した。ギャップの小さなダイマーは3テスラ以上の磁場によってギャップが消失し、絶対零度まで有限の磁化率を示すようになると考えられる。 (2)鉄ヒ素系物質NaFeAsの純良な単結晶資料を合成し、NaおよびAsサイトのNMR測定を行った.常圧下で、この物質は分離された構造相転移と反強磁性転移を示す。反強磁性状態におけるNMRスペクトルは、転移温度に近い高温では、非整合スピン密度波様の非対称に人がった線形を示すが、温度の低下とともに線幅がシャープに、また線形が対称的に近づく。このことは反強磁性構造が非整合スピン密度波から整合は反強磁性構造に、温度に依存してクロスオーバーするという非常に珍しい現象を指示している。前年度に開発した対抗アンビル型の圧力セルを用いて、5GPa程度の圧力範囲で、物質の高圧下で超伝導が発現するかどうかを微視的に調べた。超伝導は出現するものの、非常に残留状態密度のおおい乱れた超伝導状態であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)