2011 Fiscal Year Annual Research Report
自動電離状態における一般化ブライト相互作用効果の研究
Project/Area Number |
21340111
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (50361837)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 千樫 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 研究員 (70037266)
仝 暁民 筑波大学, 数理物質科学研究科, 准教授 (80422210)
|
Keywords | 原子・分子 / 多価イオン |
Research Abstract |
23年度は、X線による測定とTokyo-EBITから引き出したイオンによる平衡電荷分布計測による測定を合わせることにより、2電子性再結合において放出されるX線の角度分布を金多価イオンについて測定し、角度分布に現れるブライト相互作用効果を明らかにした。Tokyo-EBITでは電子ビームに対して90度方向に放出されるX線しか観測できないため、X線による測定だけでは角度分布を得ることができない。そこで、平衡電荷分布による計測で積分断面積を測定し、その結果とX線測定による90度での微分断面積とを組み合わせることで、角度分布を決定する非等方パラメータを得た。リチウム様金多価イオンの2電子性再結合過程に対する実験結果を理論計算と比較した結果、クーロン相互作用のみを考慮した計算とは大きな差異があり、ブライト相互作用を考慮に入れることによって初めて実験結果を再現することが明瞭に示された。これは角度分布に対する顕著なブライト相互作用効果を初めて示した結果であり、本研究課題の大きな目標の一つを達成したものである。この成果は、当該分野で最も権威のある雑誌Physical Review Letters誌に掲載された.また、多価イオン分野における代表的な国際会議である「多価イオン物理国際会議」(2012年ハイデルベルグにて開催予定)にて招待講演を行うことが決定した。この成果にとどまらず、角度分布を支配する磁気量子数分布をより直接的に測定する手法として、X線の偏光度を測ることを計画し、そのための硬X線偏光度計の準備を始めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の一つであった、角度分布におけるブライト相互作用効果の検証を今年度達成することができた。その成果は当該分野で最も権威のあるPhys. Rev.Lett誌に掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
放射X線の角度分布を生む磁気量子数分布をより直接的に観測する手段として、X線の偏光度を測定する。そのために、X線偏光度計の立ち上げを行う。また、詳細な理論解析と比較することにより、ブライト相互作用効果の中で、磁気的相互作用の寄与と遅延効果による寄与を分離して検証する。
|