2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧その場分光観察によるマグマへの水の溶解反応の研究
Project/Area Number |
21340161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山下 茂 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (30260665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神崎 正美 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 教授 (90234153)
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Keywords | マグマ / 流体 / 高温高圧物性実験 / 岩石鉱物鉱床学 / 火山 / 振動分光 |
Research Abstract |
装置の最適化:高温高圧その場分光実験では外熱式ダイヤモンドアンビルセルが分光器の顕微ステージの大部分を占有し、標準光源(ネオンランプ)を測定するのに不便であった。顕微光学系共焦点の背後に標準光源を挿入できるように装置を改良し、標準光源の輝線を随時測定し波数校正を行うことで精度の良い分光実験が可能になった。 圧力マーカーの性能評価:前年度に引き続き、炭素13同位体(13C)合成ダイヤモンドの圧力マーカーとしての性能評価を行った。外熱式ダイヤモンドアンビルセルに純水とともに封入した13Cダイヤモンドのラマン散乱バンド波数シフトを、ともに封入したルビーの蛍光波数シフトならびに高圧H20固相の融解曲線と比較した。これにより圧力マーカーとして使用可能なレンジを最高温度800℃、最高圧力4.8GPaまで拡張し、13Cダイヤモンドのラマン散乱バンド波数シフトの温度・圧力依存性が温度の2次関数と圧力の1次関数の線形結合で表せることを見いだした(圧力決定の精度は±0.1GPa、温度・圧力依存性の相互微分は無視できる)。 マグマ物質のその場分光実験:13Cダイヤモンド圧力マーカーの有用性の目処がついたので、従来の圧力決定法(圧力媒体と圧力マーカーを兼ねた純水の状態方程式を用いる)からの脱却が可能になった。これにより、純水を主体とする流体相へのマグマ(シリケイト成分)の溶け出しから生じる実験結果の不確かさを排除できるようになった。また圧力媒体として純水を使わない実験を行うことも可能になった。具体的には、固体バッファー法を併用して、酸化還元状態を制御した多成分系流体とマグマのその場分光観察実験を行った。還元的な多成分系流体では窒素を含む化学種としてアンモニアが卓越し、マグマへのバルク窒素溶解度が大きく上昇することを見いだした。さらに別の応用例として、流体相に不飽和なマグマの高温高圧その場分光観察を行える可能性が見えてきた。
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Research Products
(3 results)