2011 Fiscal Year Annual Research Report
多階層概念に基づくプラズマ相転移のダイナミックスと構造形成
Project/Area Number |
21340171
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸本 泰明 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10344441)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 進 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
李 継全 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (00437253)
|
Keywords | プラズマ相転移 / 相乗的複雑性 / 放電・雷過程 / 多階層ダイナミックス / 突発性・構造形成 / レーザー物質相互作用 / 電離過程 / 原子・分子過程 |
Research Abstract |
H23年度は、1)平成22年度に開発を進めたラズマ相転移過程を高精度で再現する粒子コード(EPIC3D)を用いて高強度レーザーと物質との大規模な相互作用シミュレーションによる電離過程の研究、および、2)波長オーダで集束した超高強度レーザー場中での荷電粒子運動の非線形ダイナミッグスを記述する理論研究を実施した。1)集光強度10**19W/cm2、パルス長20fsecレベルの超高強度レーザーと固体炭素(ダイアモンド)との大規模・高精度の相互作用シミュレーションを実施し、電離過程および固体中を伝播する電離波のダイナミックスに関する研究を進展させた。レーザーに照射された固体炭素は、表面近傍で光速の1%程度の緩やか速度で4価のイオン化が進む一方、その領域での圧力があるしきい値に達すると、光速の40%に達する高速で伝播する4価の電離波に遷移することを見出した。この4価の高速の電離波は、電離波面の荷電分離に伴う静電場による場イオン化によって維持されることを明らかにするとともに、これを説明する理論モデルの構築を行った。2)時空間において局在したレーザー場中での荷電粒子はレーザーの動重力を受けて運動する。この動重力は、電磁場振幅の勾配に比例する力として運動方程式に対する平均化法により導出されていたが、新たに非正準Lie摂動理論を導入することにより従来の理論を拡張し、電磁場振幅の曲率や曲率微分などの高次の構造を取り入れた理論に拡張することに成功した。この理論は、高強度レーザーを利用した様々の応用研究(レーザー粒子加速やレーザー物質相互作用)において重要なレーザー場の形状効果や輻射減衰を伴う粒子運動を正しく理解する基礎となる重要な成果である。これらの研究と平行して、H22年度に実施した核融合プラズマや宇宙・天体プラズマにおける爆破的なリコネクションのトリガーに関する構造駆動型非線形不安定性の理論研究も進展させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
原子・緩和過程を取り入れた統合化粒子コード(EPIC3D)の開発が、京都大学メディアセンターなどの協力を得て順調に進み、これによる電離過程や放電・雷過程の高精度のシミュレーションが効率的に実施できる環境が整備された。また、シミュレーション結果を説明する理論モデルの構築も順調に進展し、シミュレーション研究と理論研究はが車の両輪として相補的・相乗的に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も、統合化粒子コード(EPIC3D)における電離過程や輻射減衰過程などの理論モデルの開発を継続するとともに、高強度レーザー場や様々な波長領域の輻射場とプラズマ粒子が混在した電離性複雑媒質の高精度シミュレーションを実現し、それらを利用した放電・雷過程をはじめとしたプラズマ相転移の理論的理解と応用研究を推進する。
|
Research Products
(4 results)