2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350008
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山田 千樫 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 教授 (70037266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (50361837)
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Keywords | 多価イオン / 固体表面 / 放出電子 / 偏極電子 / モット検出器 |
Research Abstract |
多価イオンと固体表面との相互作用において放出される電子の性質を調べるため,本年度は電子のスピン偏極度を調べるためのモット型検出器(既存)の較正をするために、独立の偏極電子線源を開発した.これは,ガリウムヒ素単結晶に近赤外の円偏光レーザーを照射し他ときに放出される光電子がスピン偏極をしていることを利用する物である.超高真空テェンバーの立ち上げ,ガリウムヒ素単結晶の清浄化装置,光電子の偏向器,金薄膜による偏極電子の検出系などを組上げて装置の完成を見た.実験はこれからの課題として残されたが,おおむね予定の行程にそって進行している.近赤外のレーザーとしては,パソコン用のCDRW装置の半導体レーザーがたまたま本装置に好ましい波長節囲で発振するので手軽に利用することができた.これは直線偏光であるので,1/4波長板で円偏光に変換する.ガリウム砒素結晶はいわゆる負の電子親和性を持たせるためにセシウム酸化物で薄く覆う必要がある.そのために真空チャンバーにはセシウム蒸発源および酸素導入系をとりつけた.また結晶表面が汚されると電子の放出率が下がってしまうので,結晶の清浄化を加熱法により随時行えるようにしたばかりでなくマイナス8乗パスカル台の超高真空が得られるようにした. スピン偏極度は,モット検出器とは独立に絶対値が決定できる金薄膜による吸収電流の測定からキャリブレーションする. 今後はこの装置により偏極度の既知の電子線を発生し,モット検出器の性能評価に用いる予定である.
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