2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21350025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 隆幸 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩野 直和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00302810)
小林 潤司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90334242)
吾郷 友宏 京都大学, 次世代開拓研究ユニット, 特定助教 (90466798)
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Keywords | 合成化学 / 光物性 / 複合材料・物性 / ヘテロ-π共役分子 / ラジカル環化反応 / ヘテロール / スマネン |
Research Abstract |
本研究では、新たなヘテロ-π共役分子群として2次元的、あるいは3次元的にπ共役系が拡張した分子群の構築と光学特性の発現を目指す。今年度は2次元的にπ共役系が拡張したヘテロ-π共役化合物として、まずトリアジンを中心コアとして、3ヵ所にホウ素置換基を導入したトラキセン型化合物の合成検討を行った。2,4,6-トリス(2-ブロモフェニル)-1,3,5-トリアジンのトリリチオ化を経て、三つのピナコールボランユニットを導入したが、窒素-ホウ素分子内相互作用は発現せず、ホウ素上の置換基の検討が必要であることがわかった。続いて、トリヘテラスマネン合成を目標として、分子内ラジカル環化反応を基盤とした新規なホスホール骨格構築法の開発を検討した。種々の条件検討の結果、ビフェニル基を有する2級のホスフィンオキシドに空気存在下、トリエチルボランを作用させることによって収率よくジベンゾホスホールオキシドが得られることがわかった。本反応を活用することにより、これまで合成例がほとんどなかったラダー型ジベンゾホスホールオキシドの合成に成功した。また、ホスフィンオキシドをLawesson試薬と反応させることで、対応するホスフィンスルフィドへ変換した。さらに、ラダー型ジベンゾホスホールオキシドが有機蛍光材料として優れた蛍光特性を示すことを明らかにした。続いて、本反応を用いてトリホスファスマネンの合成を試みたところ、目的化合物は得られなかったものの、トリフェニレンの湾部に二つのホスホール環が縮環したトリフェニレノジホスホールオキシドの合成に成功した。このように、分子内ラジカル環化反応が、含リン2次元拡張型ヘテロ-π共役分子の合成に有効であることが分かった。
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Research Products
(5 results)