2010 Fiscal Year Annual Research Report
光励起高スピンπラジカルの複合機能化による分子素子への展開
Project/Area Number |
21350081
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
手木 芳男 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00180068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣津 昌和 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30312903)
鐘本 勝一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40336756)
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Keywords | 光励起高スピン状態 / ESR / スピン化学 / 分子素子 / 電子移動 / πラジカル / スピントロニクス / 励起状態 |
Research Abstract |
(1)弱い電子受容体を付加したπラジカルの発光、電子移動、光励起状態の解明(代表者) 弱い電子アクセプターである、ナフチルイミドを付加したπラジカルを合成し、時間分解ESRや蛍光スペクトル測定等により、この弱い電子アクセプターを付加した系は、先に報告したBODIPYを付加した系と比較して、電荷分離イオン対状態を経由する経路が優位であることが解明された。また、量子混合状態からの分子内電子移動による特異な動的電子スピン分極形成と分極移動の関係を理論的にも明らかにした。これらの成果は、2報の一流国際誌に掲載された。 (2)光励起高スピンπラジカルを配位子とする金属錯体を用いた、EnT、PET、LMCTの解明(分担者1、代表者) ビピリジル基を有するπラジカルの合成に成功し、その基底状態をESR、X線解析等により、またその光励起状態を時間分解ESRにより解明した。また、それを配位子として用いた金族錯体の作成を試み、Co錯体の形成を吸収スペクトルにより確認できた。 (3)πラジカルの励起状態の高速ダイナミックスの解明(分担者2、代表者) エネルギー受容体Bodipyを連結した励起高スピンπラジカル(Bodipy-AnOV)の参照物質を合成し、Bodipy-AnOV系と共にfsレーザーを用いた高速時間分解発光・過渡吸収測定を行った。現在、その結果をもとに詳細な高速ダイナミックスの解析を行っている。 (4)πラジカルの光励起高スピン状態を利用した分子素子への展開(代表者、分担者2) 昨年度に引き続き励起高スピンπラジカルを用いたEL素子の試作を行い、弱いながらEL発光の確認できたが、現在の所まだ素子の不安定性の問題は十分には解決していない。また、Bodipy-AnOVの参照物質であるラジカルを付加していない系では、分子内エネルギー移動によるEL発光を比較的安定に観測する事に成功した。
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Research Products
(14 results)