Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 邦征 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70216307)
北原 武嗣 関東学院大学, 工学部, 教授 (00331992)
鈴木 康夫 宇都宮大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50431698)
橋本 国太郎 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40467452)
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Research Abstract |
本年度は,リベットの腐食損傷を,リベット頭部を切削して模擬した模擬腐食損傷(頭部を80%以上切削除去)を有するリベット集成I桁に対し,せん断載荷実験を行い,腐食損傷の影響がせん断耐荷力に与える影響について実験的に検討した.その結果,頭部の腐食損傷が集成I桁のせん断座屈発生荷重およびせん断耐荷力に与える影響はわずかであり,せん断座屈荷重はほとんど変化せず,せん断耐荷力については約5%の低下が認められた.これは,リベット頭部が切削されることにより,閉じ合わせ力が低下し,その結果,リベット近傍の抜け出しが発生したことが主な原因と考えられる.また,この現象を確認するために汎用コードABAQUSを用いた有限要素解析を行い,それを確認した. さらに,トラス橋格点部の耐震性能を改善する手法として,S字型ダンパーを斜材間に設置する手法を新たに提案した.そこで,まず,有限要素解析によりS字型ダンパーのエネルギー吸収性能を定量的に評価し,提案のダンパーが類似構造のベローズダンパーよりもエネルギー吸収性能に優れていることを明らかにした.また,このダンパーを標準的な既設鋼リベットトラス橋に対して適用することを想定し,時刻歴解析(弾塑性)を行い,応答性状の変化について調べた.その結果,S宇型ダンパーを挿入することで最大応答が低減し,提案ダンパーの設置が有効であることを明らかにした.昨年度および本年度の成果により,頭部腐食を有するリベット集成桁の耐荷性能は,腐食損傷がリベット頭部にとどまるのであれば,大きな低下は見られず,健全桁とほぼ同じ耐荷性能を有していることを明かにしており,既設鋼リベット橋の健全度診断に有益な情報を提供した.
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