Research Abstract |
長さ約17kmの鹿島灘南部の沿岸をレーダ4機で観測するレーダネットワークを用い,観測を継続した.鹿島灘南部海岸の北端のステーション(R-0)から4km(R-1),10km(R-2),14km(R-3)の位置にレーダが設置され,2009年10月より2012年3月末までのデータを連続的に取得した.R-1は観測桟橋HORSにあり,ここでは海浜断面の測量が行われており,観測精度の検証を行った.各ステーションは有線,無線回線で結ばれており,観測データを毎時間サーバに送信し観測状況を確認した。観測は毎正時に開始し,平均画像を蓄積した.平均画像には,汀線位置,砕波位置,河口フロントなどが映っている.対象域の端部(R-0),ヘッドランドの設置されている領域(R3,R4),自然状態に近い領域(R-1)の地彰変化をそれぞれ調べた.各観測地点の汀線変動の相関を調べ,対象域の中央部とその他の端部に近い領域の変動が逆位相となる特徴的な空間構造があることを明らかにした.ヘッドランド周辺,観測領域端部の地形変動を解析することにより,漂砂の向きと大きさを推定する検討を行った.その結果,夏季には南方から入射する波浪による北向きの,また,冬季には北方から入射する波浪による南向きの沿岸漂砂が発生し,ヘッドランド周りの地形変化が顕著であることを確認した.また,全域で,入射波高が大きくなると汀線位置の陸側への後退が見られ,後続の低波浪時に海側に移動する季節的なサイクルが見られた.
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