2012 Fiscal Year Annual Research Report
地域文化を活かす歴史的街並群再生のための工学的アプローチ
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21360298
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
野口 弘行 明治大学, 理工学部, 教授 (40062012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正美 明治大学, 理工学部, 教授 (70247146)
酒井 孝司 明治大学, 理工学部, 教授 (40274691)
小山 明男 明治大学, 理工学部, 教授 (90285099)
小林 正人 明治大学, 理工学部, 准教授 (50373022)
内山 善明 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (50445839)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地域文化 / 歴史的街並 / 街並再生 / 耐震改修 / 町家 / 時刻歴応答解析 / 地震動 / 温熱環境 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、意匠・構造・環境の各分野で研究を行った。 意匠では、高梁市民に対するアンケートを行い、200部近い回答を得ることができた。これにより住民の簡単なプロフィールや、街並や住まいに対する意識を把握した。歴史的街並に住んでいても、住宅には現代的ニーズが強く求められているという結果になり、街並の時代に見合う変遷の必要性が浮き彫りになった。 構造では、現地調査による構造特徴の把握と、計画面を考慮した耐震改修の検討を行った。これは実建物を再現した解析モデルを使った時刻歴応答解析によるもので、複数の改修案を作成し、合理的であるとされる改修案を検討した。通り側に大きな開口が設けられている町家の特徴は、構造面では不利に影響するが、屋根の軽量化、床の補強をすることで町家形状を保持しながら耐震性を上げることが可能であることを導いた。アンケートで大きな開口を望む自営業者の割合が高かったことより、この形に対応した耐震性能の向上が望めることは高梁において有用性が高いといえる。 環境では、高梁市全域、また中心部の風況解析実測を行った実建物の風圧係数を数値流体解析(CFD)手法により算出した。この風圧係数予測結果を用いて熱・換気回路網解析を行い、通風利用による温熱環境改善効果を検討した。 また、11月にはシンポジウム「歴史的街並群をいかに再生するか」を開催した。研究参加者だけでなく他大学や高梁市からゲストを招き、研究分野の成果発表に加えて街並保存・再生に関しての意見交換を行った。互いの研究の進歩状況や方向性を確認し合うと共に、研究者、学生、行政関係者からの意見といった、普段交わる機会の少ない考えを交換することができた。「誰のための保存なのか」「改修は住民の意思なしでは実現しない」等がキーワードとなり、このシンポジウムは今後研究をまとめるにあたって考慮すべき事を新たに浮上させる有用なものになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度へ向けて、各分野の専門性の高い成果が挙がってきている。また学術的な面だけでなく、アンケートの実施等、住民側の情報や考えの把握も行う事で高梁市にあてはまる再生コードの提案に向かっている。そして11月に開催したシンポジウム「歴史的街並群をいかに再生するか」によって、互いの分野の情報を得たことや外部からの指摘を受けたことにより今後行うべき内容が見え、まとめに入る次年度にはさらなる進展が望めるため。
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Strategy for Future Research Activity |
分野間をつなげる活動を重点的に行う。 既存の町家の機能と時代のニーズのずれを埋めるための意匠的提案と、開発した耐力要素を組み込み、最小限のプラン変更で最大限の耐震効果を発揮するような構造的提案、そして、気流や断熱性能などを考慮し、岡山県高梁市の気候の変化に対応できるような環境的提案、それぞれの意見の合意点となる町家の「まちなみ・くらし再生コード」を作成し、高梁市景観計画策定へ展開していくことが推進方策である。
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Research Products
(8 results)