2009 Fiscal Year Annual Research Report
透過電子顕微鏡による高分解能電場その場観察システムの開発
Project/Area Number |
21360307
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐々木 勝寛 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00211938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 光太郎 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30161798)
徳永 智春 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90467332)
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Keywords | 表面 / 界面 / 粒界物性 / 幾何光学 / 電子光学 |
Research Abstract |
申請者が独自に開発した透過電子顕微鏡内電場・磁場観察法の空間分解能向上を目的とした、測定方法改良を行った。測定に用いる影像絞りを、従来の2μmの等間隔に穴の空いたカーボン膜に換えて、数10nmサイズの点状の影がランダムに並んだランダムドット絞りを用いた。また、影像絞りの歪み検出を肉眼で行うのではなく、画像処理手法の一つであるパターンマッチング法を用いた。この結果、撮像メディアに写真filmを用いた場合740nmの空間分解能、CCDカメラを用いた場合74nmの空間分解能を得ることが出来た。また、画像処理のための専用ソフトウェアを開発したため、一画像の処理時間が20秒以下と、当初目的の1時間以内を遙かに上回る結果を得た。 上記の改良を行った本手法を、半導体や、金属ナノギャップ素子など様々な電子素子に適用した。特に、電界放出電子銃の電子放出針先端部と、レーザー波長変換素子であるMg-LiNb_3周期反転ドメイン結晶表面の電場分布測定に重点的に適用した。電界放出電子銃の場合、測定結果と表面電荷法を用いた数値計算結果を比較したところ、誤差5%以内という高い精度が得られた。また、周期反転ドメイン結晶に関してはこれまで直接測定することの出来なかった誘電体の表面電荷を、試料作成方法を改良することにより帯電させることなく測定することに成功した。表面近傍の電場は面に平行な成分と垂直な成分が半周気ずれて繰り返していることが分かり、設計分極周期7μmにほぼ対応していた。この結果は、定性的な数値計算結果と良く一致していた。局所的な揺らぎと、結晶欠陥の存在を関連させる結果が得られた。
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