2011 Fiscal Year Annual Research Report
海洋菌バイオフィルム形成抑制を目的とした金属材料表面改質と抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
21360372
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
兼松 秀行 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 教授 (10185952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生貝 初 鈴鹿工業高等専門学校, 生物応用科学科, 教授 (60184389)
黒田 大介 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 准教授 (70343879)
吉武 道子 物質・材料研究機構, MANAナノエレクトロニクス材料ユニット, 主席研究員 (70343837)
間世田 英明 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10372343)
飯村 兼一 宇都宮大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10272220)
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Keywords | バイオフィルム / 生物付着 / マクロ生物付着 / ミクロ生物付着 / 溶射 / 電気めっき / クロムめっき / ニッケルめっき |
Research Abstract |
クロム、ニッケル、すず、銅、亜鉛、アルミに生むなどを鉄鋼材料表面に各種表面処理法により形成させ、海洋浸漬、実験室的な暴露試験により、そのバイオフィルム形成能抑制効果の違いを調べた。海洋浸漬は三重県津市にあるマリーナ河芸の浮き桟橋からつり下げて数週間から数ヶ月浸漬することにより生物付着挙動を見た。一方、実験室的には、ひとつは、一般的な水道水を満たした50mLの遠沈管中に試料を入れ、これを40℃に保たれたインキュベーター中に入れて一週間浸漬し、その後取り出して観察を行った。この方法を本プロジェクトでは静置浸漬試験と呼ぶ。一方もう一つの方法は、作製した試料を流体に浸漬する試験法である。循環系を構成し、ポンプによって浄水を循環させ、ある箇所において大気中の雑菌を巻き込み、カラム中に固定した試料上にバイオフィルムを形成させるようにした。この方法を循環系浸漬試験と呼ぶ。これらの方法においてそれぞれ一定時間試料を水環境に暴露した後、試料の目視による観察、低真空SEMにより試料表面の観察を行なった。表面処理法としては、電気めっき、溶融亜鉛めっき、溶射等を行った。すべての手法において、亜鉛、亜鉛-アルミニウム合金膜、アルミニウム膜は生物付着が起こりにくく、バイオフィルムの形成も抑制された。クロム、ニッケルについては、鉄そのものが存在するときに比べてバイオフィルム抑制効果が現れたが、他の金属に比べると抑制効果は今ひとつであった。表面改質法としては、電気めっきは膜厚が薄く長期暴露になる環境下では適さない。溶射法あるいは亜鉛、アルミニウムに限っては、溶融浸漬めっきが有効である。 表面改質法としては、素地が鉄鋼材料の場合、鉄の水溶液への溶解を止めるコーティングが、バイオフィルム抑制のために最も重要である。そのためには膜厚、膜の質(欠陥の少ない膜)、素地との電位差などが重要なポイントとなると思われる。
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Research Products
(10 results)