2010 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的分子系統解析に基づく頭索動物亜門の種多様性と進化経路の解明
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21370034
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
西川 輝昭 東邦大学, 理学部, 教授 (50126885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 睦 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (90136896)
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Keywords | ナメクジウオ / 分子系統解析 / supermatrix法 / 隠蔽種 / ナメクジウオ属 / カタナメクジウオ属 |
Research Abstract |
1. 標本採集:実施計画では、チリ共和国アントファガスタ周辺において野外調査を実施する予定であったが、現地研究者が予想外の好意で自ら標本採集を安価に請け負ってくれることになった。この結果、Branchiostoma sp. cf. elongatumの標本を入手した。他方、前年度繰り越し分で実施したセネガル共和国における調査の過程で、隣国ガンビア共和国での野外調査の伝手ができたので、計画を変更し、23年3月にガンビア調査を実施した。本海域から3種のナメクジウオが知られており、新規標本採集が期待された。予想外の海況悪化のなかでSCUBA潜水調査を強行したが、ついに良好な海底に辿りつくことができず、標本採集は成功しなかった。 2. 分子系統学的解析:カタナメクジウオ属Epigonichthysに重点を置いて、手持ちの多数の未解析資料の分析をすすめた。既知6種のうち5種(5地域個体群)について新たに決定したミトコンドリアDNAの全塩基配列(12,497塩基)による系統樹を作成してこれを頑健なバックボーンとし、そこに、他の地域個体群で決定した16SrRNA遺伝子部分塩基配列(565塩基)を加えて、supermatrix法による系統解析を実施した。その結果、インド-西太平洋に広く分布する2種のクレードと、オセアニア海域にのみ分布する3種のクレードの2つに深く分岐すること、また、これらのいずれの枝にも属さない系統(隠蔽種)が少なくとも2つあることが初めてわかった。 3. 研究発表:ナメクジウオ属Branchiostomaの系統解析結果を総まとめする論文発表は前年度からの課題であるが、補完的な解析を行いつつ原稿の執筆をすすめた。また、本年度のカタナメクジウオ属における研究成果(上述)については23年6月の日本動物分類学会・沖縄生物学会合同大会での発表、および論文執筆の準備をすすめた。
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