2011 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的分子系統解析に基づく頭索動物亜門の種多様性と進化経路の解明
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21370034
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
西川 輝昭 東邦大学, 理学部, 教授 (50126885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 睦 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (90136896)
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Keywords | ナメクジウオ / ナメクジウオ属 / オナカナメクジウオ属 / カタナメクジウオ属 / 分子系統解析 / 隠蔽種 / supermatrix法 / 系統地理学 |
Research Abstract |
1.標本採集・入手:実施計画どおり、平成23年8月に、モルジブ共和国のハニマドゥ(ハー・ダール環礁)において、現地で傭船して潜水調査を行い、オナガナメクジウオ属のAsymmetron orientaleの新規標本を多数採集することに成功した。この地点は本種のタイプ産地であるから、オナガナメクジウオ種群隠蔽種(我々のプロジェクトで発見)の学名決定が可能となった。また、平成22年9月に採集をこころみたが成功しなかったカナリア諸島・テネリフェ島の当時傭船した会社から、たまたま採集できたとしてナメクジウオ属Branchiostomaの標本が好意で送付された。さらに、カタナメクジウオ属Epigonichthysの標本を沖縄島沿岸から新規に入手できた。 2.分子系統学的解析:懸案のナメクジウオ属の系統解析結果を総まとめする論文については、上記のカナリア諸島産新規標本、および既に解析した個体群についても可能な限り個体数を増やして解析と系統地理学的議論をより精緻に行い、原稿をほぼ完成することができた。なお、上記ハニマドゥで採集した標本については解析を継続中である.また、カタナメクジウオ属についても、supermatrix法を使って昨年度にすでにほぼ完成していた本属の網羅的な分子系統樹に上記沖縄産標本の分子データを加えて解析した結果、本標本はE. cultellusのクラスターに入った。すなわち、本種の日本沿岸初記録であることが示された。この結果、日本沿岸にはナメクジウオ類が全部で6種生息することがわかった。 3.研究発表:カタナメクジウオ属における研究成果(上述)は、平成23年6月の沖縄生物学会大会でポスター発表した。また、ナメクジウオ属の系統解析結果を総まとめする論文について、投稿を準備中である。
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Research Products
(1 results)