2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法によるウシと細菌のチトクロム酸化酵素のプロトンポンプ機構の研究
Project/Area Number |
21370073
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
島田 秀夫 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (80095611)
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Keywords | チトクロムc酸化酵素 / プロトンポンプ / 部位特異的アミノ酸置換 / ウシ心筋 / 無細胞タンパク質合成系 / Paracoccus denitrificans / N-acetylcysteine |
Research Abstract |
ウシ心筋と細菌のチトクロムc酸化酵素のプロトン(H^+)輸送経路として、互いに相同である3つの経路(D-,K-,H-pathway)が提案されている。D-pathwayは水形成用とポンプ用のH^+を輸送すると提唱され、細菌酵素の変異体解析により支持されている。D-pathway H^+ポンプ説を支持する細菌酵素での変異に対応したウシ酵素部位を変異(Asn98Asp,Asn163Asp)させたが、いずれも機能に影響がなく、細菌酵素の結果と一致しなかった。この結果は予想外である、そこで発現系宿主内でのback-mutationを考慮し、変異体を含む酵素のサブユニット遺伝子およびサブユニットmRNAの全塩基配列を本年度決定し終えた。新たな変異はなかった。また、細菌D-pathwayの水形成用H^+輸送機能に必須のアミノ酸残基に対応したウシ酵素部位を変異(Glu242GlnとAsp91Asn)させた。この変異体発現細胞は、死に易く培養が難しかったものの、活性酸素除去作用をもつN-acetylcysteineを培地に添加することにより、細胞死が抑制された。これら変異は酸素還元活性を失活させた。以上の変異体解析の結果、ウシ酵素D-pathwayは、水形成用H^+を輸送するものの、ポンプ用H^+は輸送しない、ことが強く示唆された。既に報告したように、我々が提案しているH-pathwayの変異体解析は、ポンプ用H^+の輸送を強く示唆する。大腸菌無細胞タンパク質合成系で、細菌酵素のSI-IIIを合成し、野生型と遜色のない標品を得ている。しかし、機能化効率が低い。この効率の向上を図るために、本来の宿主であるParacoccus denitrificansの無細胞系を構築した。正常なGFPまたP450camを合成することに成功した。この系により細菌酵素のサブユニットI-IIIを合成できた。
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