2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍組織における微小環境の変化に連動した癌の浸潤形質獲得機序の解明
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21370092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 茂 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 准教授 (50311303)
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Keywords | 乳癌 / 癌浸潤 / Arf6 / AMAP1 / EMT / エピジェネティクス / ポリコーム群遺伝子 / EZH2 |
Research Abstract |
本研究は、腫瘍組織での酸素分圧の低下に伴う乳癌の浸潤形質獲得機序とGEP100-Arf6-AMAP1シグナル伝達経路との関連性を明らかにすると共に、正常乳腺上皮細胞とその亜株及び、EMTと低酸素状態との遺伝子発現の網羅的解析を進め、癌浸潤形質の誘導に必須の初期段階でのエピジェネティックな分子機序を明らかにし、Arf6を中心とした分子装置との関与の普遍性や固有性を解明することを目的としている。本研究期間において、乳癌細胞における低酸素下での浸潤形質誘導におけるArf6活性化に関わるArfGEFの同定及び、活性化経路の解明のために、乳癌細胞MDA-MB-231、MDA-MB-468を用い低酸素下で見られる浸潤形質活性化とArf6活性化がsiRNA処理によるGEP100発現抑制により抑制されることを観察している。これらの細胞株を用いて、定常酸素状態と低酸素状態とでの遺伝子発現の網羅的解析を行い、低酸素下で特異的に発現するレセプター型チロシンキナーゼ及び、そのシグナル伝達に関わる分子を検索した。しかしながら、両細胞間で共通に発現が増加する既知のレセプター及び、シグナル分子、あるいは、発現が減少する既知のフォスファターゼや抑制因子は見られなかった。同時に進めていたGEP100との結合実験から、低酸素下で特異的に共沈降するチロシンリン酸化蛋白質群から、活性化経路に関わる分子の同定を進めている。低酸素状態とEMTで共通に浸潤形質を示すマウス乳腺細胞NMuMGの亜株群の遺伝子発現の網羅的解析から見出したポリコーム群(PcG)遺伝子、EZH2の発現制御を調べるため低酸素状態とEMTとの初期段階でのmRNA発現及び、microRNA発現の網羅的解析により、EZH2遺伝子の発現に関与する可能性の考えられる候補分子の同定し、さらに、EMT及び、低酸素下で浸潤形質を示さなかった亜株群を用いて比較検討を行い、候補分子の絞り込みを分子生物学的手法を駆使して進めている。
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Research Products
(3 results)