2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍組織における微小環境の変化に連動した癌の浸潤形質獲得機序の解明
Project/Area Number |
21370092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 茂 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50311303)
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Keywords | 乳癌 / 癌浸潤 / Arf6 / AMAP1 / EMT / エピジェネティクス / ポリコーム群遺伝子 / EZH2 |
Research Abstract |
本研究は、低酸素下での乳癌の浸潤形質獲得機序とGEP100-Arf6-AMAP1シグナル経路との関連性を明らかにすると共に、正常乳腺上皮細胞とその亜株についてEMT誘導と低酸素状態との遺伝子発現の網羅的解析を進め、浸潤形質の誘導に必須の初期段階でのエピジェネティックな分子機序を明らかにし、GEP100-Arf6-AMAP1シグナル経路との関与の普遍性や固有性を解明することを目的とする。昨年度までに、低酸素下で浸潤性を示したいくつかの乳癌細胞に共通して、Arf6が必須であること、その際、Arf6活性化因子がGEP100であることを見出した。本研究期間において、GEP100-Arf6経路活性化の分子機序について、低酸素下でEMTが誘導されることが報告されているMDA-MB-468細胞においてEGFレセプターが活性化されること及び活性化EGFレセプターにGEP100が結合することを見出した。また、高浸潤性の乳癌細胞MDA-MB-231において、c-Metが活性化されること及びGEP100が相互作用することを見出した。c-MetとGEP100との結合性がEGFレセプターに比べ弱いこと等から結合様式について詳細な解析を進めている。さらに、両細胞とも低酸素下で乳癌幹細胞様形質が誘導されることを見出した。低酸素状態とEMT誘導で共通に浸潤形質を示すマウス乳腺細胞NMuMG及びその亜株の浸潤形質獲得にArf6及びGEP100が必須であることを見出した。さらに、これまでにNMuMG細胞及びその亜株において低酸素状態とEMT誘導での浸潤形質獲得に関わることを見出したエピジェネティック制御因子EZH2の発現に関与する可能性の考えられる候補分子の一つが低酸素下での転写制御因子HIFによって制御されている可能性を見出した。GEP100-Arf6-AMAP1シグナル経路との関連性を検討中である。
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Research Products
(2 results)