2009 Fiscal Year Annual Research Report
二粒系コムギとタルホコムギの雑種で発現する生殖隔離遺伝子の高密度マッピング
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21380005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宅見 薫雄 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (50249166)
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Keywords | 異質倍数化 / 生殖隔離 / 種間雑種 / 雑種致死 / 補足遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、パンコムギの直接の祖先野生種で豊富な自然変異を集団中に有するタルホコムギのもつ遺伝子をパンコムギ育種に導入する際に問題となる、雑種致死や雑種弱勢の発生に関与する遺伝子座について、これらに密接に連鎖する分子マーカーの同定を目指すものである。平成21年度は、タルホコムギの集団構造解析を行うとともに、タルホコムギと二粒系コムギの雑種でみられる2タイプのハイブリッドネクローシスと幼苗期での生長停止という3つの遺伝的異常について、マイクロアレイ解析や細胞の微細構造の解析と、タルホコムギ側の原因遺伝子のマッピングを行った。 その結果、タルホコムギ系統は種内で大きく2つのlineageに分岐しており、二粒系コムギとの雑種で異常を引き起こす系統はどちらかのlineageに偏って存在すること、ハイブリッドネクローシスを示す葉では病害抵抗性遺伝子の発現が顕著に増加していること、特にtype 1ネクローシスでは病害抵抗性反応のHR細胞死がみられAutoimmune responseと呼ばれる反応がネクローシスの原因となっていること、type 1ネクローシス,type 2ネクローシス,生長停止のタルホコムギ側の原因遺伝子(NeT1-1,NeT2-1,AGH-1と命名)はそれぞれ7D,2D,2D染色体上に座乗することが明らかとなった。このうち、NeT2-1とAGH-1は2D染色体の非常に近い位置に座乗することがわかったが、タルホコムギの集団構造解析の結果と照らし合わせると独立に生じた変異であることが推定された。
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