2010 Fiscal Year Annual Research Report
二粒系コムギとタルホコムギの雑種で発現する生殖隔離遺伝子の高密度マッピング
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21380005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宅見 薫雄 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (50249166)
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Keywords | 異質倍数化 / 生殖隔離 / 種間雑種 / 雑種致死 / 補足遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、パンコムギの直接の祖先野生種で豊富な自然変異を集団中に有するタルホコムギのもつ遺伝子をパンコムギ育種に導入する際に問題となる、雑種致死や雑種弱勢の発生に関与する遺伝子座について、これらに密接に連鎖する分子マーカーの同定を目指すものである。平成22年度は、タルホコムギと二粒系コムギの雑種でみられる2タイプのハイブリッドクロロシスという遺伝的異常について、マイクロアレイ解析や細胞の微細構造の解析と、タルホコムギ側の原因遺伝子のマッピングを行った。また、低温下でハイブリッドネクローシスを示す雑種や幼苗期で生長が停止する雑種について、茎頂分裂組織での細胞分裂関速遺伝子の詳細な発現解析を行った。 その結果、ハイブリッドクロロシスを示す葉では、ハイブリッドネクローシスと同様に病害抵抗性遺伝子の発現が顕著に増加しているが、遺伝子発現プロファイル全体としては、老化に関与する遺伝子群の発現上昇が顕著であった。このことは葉肉細胞の葉緑体め崩壊の様子とも一致した。このハイブリッドクロロシスのDゲノムめ原因饗伝子は、7D染色体短腕上に座乗し、その座位はタイプ3ネクローシスの原因遺伝子Neclとほぼ同じ位置であった。また、低温下でハイブリッドネクローシスを示す雑種や幼苗期で生長が停止する雑種の茎頂分裂組織では細胞分裂のマーカー遺伝子ヒストンH4の転写産物が認められず、細胞分裂め異常がそれぞれの雑種の成長抑制と深く関連していることが示唆された。
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