2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境ストレス耐性の付与にはたすスペルミジンの機構解明
Project/Area Number |
21380028
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
森口 卓哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所栽培・流通利用研究領域, 上席研究員 (80343945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺上 伸吾 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所・品種育成・病害虫研究領域, 研究員 (20507595)
中島 育子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所・栽培・流通利用研究領域, 主任研究員 (80355362)
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Keywords | ポリアミン / 環境ストレス / スペルミジン / 組換え体 / セイヨウナシ |
Research Abstract |
1)スペルミジン合成酵素(SPDS)遺伝子をアンチセンス方向で導入したセイヨウナシ組換え体の培養シュートに対して、塩(150mM)またはカドミウム(150μM)ストレスを与えたところ、非組換え体に比較して、膜の障害が著しくなり、生育も一層に抑制されることが明らかとなった。しかし、スペルミジン(1mM)を外生的に処理すると、アンチセンス組換え体の塩、およびカドミウムストレスは軽減した。このことから、セイヨウナシ組換え体の環境ストレス耐性にはスペルミジンが関わっていることが示唆された。この機構について知見を得るためにスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、グルタチオンレダクターゼ(GR)などの抗酸化酵素活性について測定した。その結果、アンチセンス組換え体ではこれら抗酸化酵素活性があまり誘導されていなかったが、外生的なスペルミジン処理でSODやGRの活性が回復することが明らかとなり、スペルミジンが抗酸化酵素活性に影響を及ぼし、そのことがストレス耐性に関わっている可能性が示せた。 2)SPDSを過剰発現させたセンス系統(#32)は、野生型よりも環境ストレス耐性が付与されているが、その原因解明のために昨年度はディファレンシャルディスプレイ法により、#32と野生型の間で発現差のある遺伝子を特定したが、今年度はcDNAマイクロアレイ解析を行った。9,812種類の比冗長なニホンナシESTから設計されたcDNAアレイ解析により、野生型と#32との間における遺伝子の発現量を比較したところ、#32で発現量が8倍以上、または1/8以下に抑制された遺伝子は、それぞれ197種類と88種類であった。これらの遺伝子の中には、パーオキシダーゼなどのストレス応答に関連すると推測される遺伝子も多く含まれていた。
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Research Products
(2 results)