2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポストゲノム時代におけるカイコランダムミュータジェネシスとその基盤研究
Project/Area Number |
21380036
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伴野 豊 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50192711)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 公子 (独)農業生物資源研究所, 農業生物先端ゲノム研究センター・昆虫ゲノム研究ユニット, ユニット長 (40370689)
横山 岳 東京農工大学, 共生科学技術研究科, 准教授 (20210635)
|
Keywords | ミュータジェネシス / カイコ / 凍結保存 / 突然変異体 / 遺伝資源 / クワコ / 突然変異 / SNPs |
Research Abstract |
ポストゲノム時代においても多様な遺伝的変異体が研究発展に大きな役割を果たす。そこで、本研究ではENU(エチルニトロソウレア)等を用いたランダムミュータジェネシスによる新たな変異体の開発、クワコの持つ遺伝変異の収集と安定した効率的なリソースの保存法の開発を目標にしている。一昨年度、ENU処理したG3世代の形質調査を行い、変異体の検出を行なったが、可視形質レベルでの変異体発見には至らなかった。マウス等では、系統によって変異の出現率は異なることが知られているので、今年度は供試系統を変えてENU処理を行ない、G2卵を育成した。次年度に形質解析を行なう予定である。カイコの祖先種とされるクワコの形質調査の結果、隠岐の島から採集した個体が有意に大型である結果を得た。比較した地域は長野県、北海道、福井県、福岡県等であるがそれらの地域のいずれよりも大型であった。カイコには、致死遺伝子が多数存在するが、致死遺伝子の系統維持は当該遺伝子をヘテロで維持する方法で行っており、SNPs等のマーカーを用いた方法が有効である。終齢致死蚕(l-li)の維持に有効なSNPsを設定した。第23連鎖群に原因遺伝子があることが判明していた油蚕致死変異体は新規変異体であることを交配実験によって確定すると共に系統維持に有効なSNPsの絞り込みを行なった。効率的な保存体制として凍結精子を用いることを計画している。凍結後、融解した精子の運動性が劣り、受精まで至らない場合が多い。この機構を明らかにするには雌の受精嚢、交尾嚢及び両者を繋ぐ管内での精子の動きを観察する方法が必要であるが、その方法をほぼ完成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的な目標によって達成度は異なっているが、総合的に判断すると(2)に相当する。
|
Strategy for Future Research Activity |
ENUによる突然変異の誘発率が系統によって異なる可能性があるので、この点を考慮して研究を進める。これまで、カイコではこのような事例は報告されていなかった。マウス等では知られていたが、その理由は明らかではない。系統間のミュータジェネシス誘発率の差を確証することは今後の新しい研究に繋がるので供試系統の多様化を図る。
|