2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア域イネウンカ類の薬剤抵抗性発達メカニズムと広域移動動態の解明
Project/Area Number |
21380039
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
松村 正哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター難防除害虫研究チーム, チーム長 (00370619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 博明 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域昆虫・微生物相互作用研究ユニット, ユニット長 (40343991)
松田 一彦 近畿大学, 農学部, 教授 (00199796)
大塚 彰 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター難防除害虫研究チーム, 主任研究員 (20370497)
|
Keywords | イネウンカ / 薬剤抵抗性 / 遺伝子配列 / マイクロアレイ / 後退軌道解析 / シミュレーション |
Research Abstract |
アジア地域のトビイロウンカの薬剤抵抗性は,昨年までと同様にイミダクロプリドに対する感受性低下が続いていることがわかった。室内実験でイミダクロプリドに対する薬剤選択実験を行ったところ,もともと感受性が高いフィリピン系統と感受性の低下したベトナム系統の一部で安定した選択応答が見られた。 アジア各地域から採集した125個体のセジロウンカのリボゾームRNA遺伝子(ITS1,5.8S,ITS2の各領域)の塩基配列を解読した。5.8SおよびITS2領域は変異が小さかったが,ITS1内部には66bpからなる反復配列が存在した。反復回数は変異に富んでおり,このような多型はトビイロウンカやヒメトビウンカでは見られなかった。遺伝的多型と地域個体群との間に明確な関連は見られず,セジロウンカがアジアの広い地域で遺伝的プールを共有していると考えられた。 これまで,昆虫のニコチン性アセチルコリン受容体(nACh)に対するネオニコチノイドの選択的相互作用は,リガンド結合部位をつくるloopと呼ばれる部位との相互作用によって説明されてきた。しかし,nAChRのサロゲートペプチドAChBPとネオニコチノイドが作る複合体の結晶構造をX線結晶構造解析によって解明した結果,loopの外に位置する特定のアミノ酸の構造がnAChRのネオニコチノイド感受性の決定に重要な役割を果たしていることを,新たに見出した。 イネウンカ類のアジア広域移動の解明のため,台湾東部のライトトラップを用いたトビイロウンカのモニタリングと飛来予測,現地捕獲調査を行った。その結果,台風10号が台湾南部に接近した時にフィリピンからの飛来が予測され,通過直後に台東市で捕獲したトビイロウンカはフィリピン個体群と同様に殺虫剤イミダクロプリドに感受性を示したことから,フィリピンから台湾へのトビイロウンカの移動が示唆された。
|
Research Products
(10 results)