2009 Fiscal Year Annual Research Report
メス特異的性染色体Wの進化をカイコとクワコの比較ゲノムから明らかにする
Project/Area Number |
21380042
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
門野 敬子 National Institute of Agrobiological Sciences, 昆虫ゲノム研究・情報解析ユニット, 上級研究員 (40355722)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田 和英 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域, 特任上級研究員 (30159165)
阿部 広明 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 助教 (80222660)
前川 秀彰 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター・分子生命科学研究施設・遺伝子機能解析学分野, 教授 (60100096)
中島 裕美子 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター・分子生命科学研究施設・遺伝子機能解析学分野, 准教授 (70244340)
行弘 研司 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫ゲノム研究・情報解析ユニット, 主任研究員 (50343992)
|
Keywords | クワコ / 性染色体 / ゲノム / 進化 / カイコ / 性決定 / Z / W |
Research Abstract |
カイコW染色体において性決定遺伝子の候補となる、2つのzinc-finger遺伝子(z1、z20)を単離・解析した。しかし、これらの遺伝子は日本クワコのWにはなく、さらに、日本クワコWと中国・韓国クワコWの構造が全く異なることを発見した。そこで、インド2、中国6、台湾2、韓国2、日本11地域のクワコのW染色体、ミトコンドリアDNA、および常染色体上の遺伝子をPCRにより解析した。アジア広域におけるクワコWの分散地図を作成し、また、系統解析により、どのようにして2つの異なるWが誕生したかを推定した。 Wの構造から次の3グループに分類された。【カイコW型】全ての東アジア大陸のサンプル、【日本クワコW型】全ての日本クワコのサンプル、【その他】全てのインドクワコサンプル。現在マーカーなし。インドのクワコはクワコに近い近縁種である可能性が高い。また、Wマーカーの変異速度は常染色体のものと比べて3~10倍遅いことが分かった(平均値はミトコンドリア:常染色体:W染色体=1:0.63:0.12)。推論として、クワコは約1400万年前にインド方面から東アジア方面に拡散し、約700万年前に大陸の一系統でzinc-finger遺伝子が常染色体からWに転座することによって新規Wの先祖型が誕生したが、この新規Wは中立的で小規模集団でしかなかった。W上のzinc-finger遺伝子は重複によってコピー数を増やした(30万年前)。この時期に新規Wは性決定に有利な変異を獲得し大陸内で急激に広まった。現在大陸に存在するカイコ型Wは全て4コピーのものである。日本列島は約10万年前に大陸から地理的隔離して新規Wの侵入はなかった。このようにして異なるWの分布が生じたと考えられる。しかし、インド北東部、シベリアなど、サンプルの得られていない地域があり、推論を裏付けるためにもこれらの地域のサンプル収集が必要である。
|
Research Products
(13 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] The analysis of the specific mariner Transposon in some insects, BmTNML locus and the R2 retrotransposable elements of B.mandarina compared with those of B.mori.2009
Author(s)
Y.Kawanishi, Y.Kamauchi, S.Okuma, S.Mano, Y.Banno, S.K.Nho, Yu-Feng Hsu, K.Ueda, M.Yago, K.Odagiri, T.H.Eickbush, H.Maekawa, Y.Nakajima
Organizer
The 6th Asia-Pacific Congress of Entomology, October 18-22, Beijing, 2009, China
Place of Presentation
Beijing, China
Year and Date
20091018-20091022
-
[Presentation] Molecular genetics of densovirus resistance in the silkworm, Bombyx mori2009
Author(s)
K.Kadono-Okuda, D.O.Ogoyi, K.Kidokoro, M.Ajimura, E.Kosegawa, Y.Banno, H.Maekawa, Y.Nakajima, K.Yukuhiro, K.Ito, K.Yamamoto, K.Mita
Organizer
International Symposium on Bombyx mori Functional Genomics and Modern Silk Road
Place of Presentation
中国重慶
Year and Date
2009-10-23
-
[Presentation] カイコ濃核病ウイルス抵抗性の分子遺伝学2009
Author(s)
門野敬子, Dorington O.Ogoyi, 城所久良子, 味村正博, 小瀬川英一, 伴野豊, 前川秀彰, 中島裕美子, 行弘研司, 伊藤克彦, 山本公子, 三田和英
Organizer
日本遺伝学会大会ワークショップ
Place of Presentation
長野県上田
Year and Date
2009-09-18
-
-
-