2009 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫DNAウイルスの感染・増殖抑制に関わるカイコ由来新規因子の分子機能解析
Project/Area Number |
21380043
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
田中 博光 National Institute of Agrobiological Sciences, 生体防御研究ユニット, 主任研究員 (30391577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬筒 秀樹 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換えカイコ研究センター, 主任研究員 (70342805)
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Keywords | カイコ / 核多角体病ウイルス / Etsファミリータンパク質 / Toll / immediate early遺伝子 / 遺伝子ノックダウン |
Research Abstract |
本年度はまず、BmEts、BmToll10-3が昆虫DNAウイルスであるBmNPVの感染・増殖抑制に関わるかを解析した。BmNPVの初期遺伝子あるいは後期遺伝子プロモーターにルシフェラーゼ遺伝子を連結させた融合遺伝子を挿入した改変BmNPVをBmEtsあるいはBmToll10-3遺伝子ノックダウン培養細胞に感染させ一定時間後の細胞抽出液のルシフェラーゼ活性を定量することで細胞内ウイルス量を定量したところ、いずれの改変BmNPVを感染させた場合でもこれら遺伝子をノックダウンさせた培養細胞では有意に細胞内ウイルス量が上昇したことからBmEts、BmToll10-3はBmNPVの細胞内増殖抑制に関わることが示唆された。カイコ培養細胞へのトランスフェクション実験から、BmEtsはBmNPV由来のimmediate early 1及びimmediate early 2遺伝子プロモーターの活性抑制に関与することが明らかとなった。このことから、BmEtsはBmNPVの細胞内増殖に必須なimmediate early遺伝子の発現を抑制することでBmNPVの細胞内増殖を抑えていることが示唆された。さらに、BmEtsはimmediate early 1遺伝子プロモーターの-190から180の間に存在する配列に依存してこのプロモーター活性の抑制をもたらすことが示された。昆虫DNAウイルスの細胞内増殖抑制に関わるホスト因子ほとんど知られていないことから、今回得られた結果は昆虫DNAウイルスに対するホストの生体防御機構を明らかにする上での重要な知見となりうる。
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Research Products
(3 results)