2009 Fiscal Year Annual Research Report
少子高齢化時代における私有林地の継承と持続的な森林管理手法に関する比較研究
Project/Area Number |
21380099
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 宣子 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 教授 (80253516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 靖人 森林総合研究所, 林業経営政策研究領域, 室長 (80353845)
山田 茂樹 森林総合研究所, 九州支所・森林資源管理研究グループ, グループ長 (80353902)
古井戸 宏通 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (30353840)
山本 美穂 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10312399)
興梠 克久 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (00403965)
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Keywords | 森林管理 / 林地相続 / 林地の細分化 / 林地売買 / 少子・高齢化 / 施業の集団化 / 山村振興 |
Research Abstract |
国内研究では大分県佐伯市と島根県浜田市弥栄町、鹿児島県南薩地域において、林地相続と利用実態について行政資料を収集した。佐伯広域森林組合員に対して林地相続と売買、立木伐採実態に関するアンケートと林地売買に関する法務局データを収集し、解析した。その結果、過疎化が著しく進んでいる旧弥栄村では集落の無住化を伴いながら農林地所有の空洞化が進行していること、一方、素材生産が活発化している佐伯市では、現世帯主による購入森林の方が相続による森林所有よりも主伐、再造林放棄、売却割合が高いことが明らかとなった。また、鹿児島県南薩地域の複数の行政機関・森林組合に対してヒアリング調査をおこなった。均分(末子)相続慣行の下での相続と、開墾地への再森林化により、ごく小面積の林地が生じ、これが管理・施業のコストを引き上げることが明らかとなった。海外研究では、相続制度と慣習、森林資源と木材産業実態、森林環境政策、条件不利地域政策などの文献収集を行った。その結果、フランスとドイツでは分割相続によって不在村化と所有の細分化が進行し、「共有地の悲劇」ならぬ「非共有地の悲劇」といった問題が生じていること、一方ノルウェーでは第1子への相続優先権が法律に規定されていることなどの制度的な相違を把握した。フィンランドとノルウェーでは行政と森林所有者組合で資料収集を実施した。ノルウェー西部では小規模所有者を共同化する「From Ten to One」プロジェクトによって、林道の開設、伐採の共同化、架線集材への助成が開始されていることを把握した。一方、フィンランドでは全員加盟の森林所有者組合が相続後に不在村化した森林の受託化をすすめており、その資料収集を行った。
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