2010 Fiscal Year Annual Research Report
養殖現場を視野に入れた魚類ウイルスRNAワクチンの実用化
Project/Area Number |
21380112
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉水 守 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40122915)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 久会 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教 (50399995)
|
Keywords | ウイルス / ワクチン / インターフェロン / 魚病 / 免疫 |
Research Abstract |
本研究はインターフェロン(IFN)を巧みに利用することで、簡便かつ実用的な魚類ウイルスに対する免疫方法を確立することにある。すなわちIFN誘導物質である合成二本鎖RNA[Poly(I:C)]を投与することで、魚を一過性の抗ウイルス状態とし、この間に病原性ウイルスに暴露させることでウイルスに対する特異免疫を誘導する方法である。今年度は、低水温期の養殖ヒラメに甚大な被害をもたらすVHSに対し、Poly(I:C)-免疫法の有効性ならびにPoly(I:C)の用法・用量について検討した。供試魚として、長崎県で種苗生産したヒラメ(31.7g)を、また免疫および攻撃用病原ウイルスとしてVHSV obama25株を用いた。Poly(I:C)免疫法の有効性確認試験では、供試魚にPoly(I:C)(200μg/fish)を筋肉内接種し、2日目にVHSV(10^<4.3>TCID_<50>/fish)を接種した。その後4週間目にVHSVで攻撃した死亡率の推移を観察した。また、Poly(I:C)投与2日前から14日後にかけてVHSV攻撃し、各区の死亡率の推移を比較することで、抗ウイルス状態の持続期間について検討した。最小有効投与量試験では、12.5μg/fishから200μg/fishについて検討した。Poly(I:C)投与後VHSVを接種した魚では死亡は認められず(RPS:100%)、また本生残魚はVHSVによる再攻撃に対し高いても抵抗性(RPS:100%)を示した。なお、生残魚の血清からVHSVに対する特異抗体が検出された。従って、ヒラメにPoly(I:C)を投与した後にVHSVを接種することで、VHSVに対する特異免疫が誘導できることが示された。Poly(I:C)投与によるヒラメの抗ウイルス状態は、投与翌日から7日目まで持続することが明らかになった。また、ヒラメにおけるPoly(I:C)免疫法では、12.5μg/fish以上のPoly(I:C)を投与すれば十分であった。
|
Research Products
(22 results)