Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波夛野 豪 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (30249370)
万木 孝雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30220536)
唐崎 卓也 東京農工大学, 農村工学研究所・農村基盤研究領域, 主任研究員 (10370529)
千年 篤 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (10307233)
山崎 亮一 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10305906)
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Research Abstract |
本研究では,「半商品」=「生産者と消費者が商品を超えた使用価値を見いだした農林産物」の生産と流通を行う事例を国内及び海外の調査により広く探索する。そして,「半商品」を生み出す生消共生型の生産と流通のあり方を分析するためのプレームワークを理論的・方法論的に確定する。最終的には,このフレームワークに基づいて,半商品経済を組み込んだ生消共生型農林産物の生産・流通の仮説的モデルを提示する。 1)アメリカ合衆国カリフォルニア州におけるCSAおよびファーマーズマーケット(FM)の実態調査を行った。その結果,CSAとFMはともに数を増大させていること。そして,それらの運営形態は多様で消費者や会員の要望も高度化しており,生産者団体はその対応に苦慮していることが明らかになった。 2)神戸消費者クラブ(兵庫県西宮市)の会員約600名を対象としたアンケート調査を行った。現在分析途中であるが,食べ物を入手するための対価として,価格,労力,時間,信頼関係,関係者への配慮や関与・責任などの諸関係について明らかにする予定である。 3)CSAの国内先進事例である神奈川県大和市なないろ畑農場,北海道長沼町メノビレッジ長沼への調査の結果,消費者による農場へのボランティア参加や会員同士の交流が行われ,CSAが農家と消費者間のコミュニティー形成に寄与することを把握した。また,日本におけるCSA成立の可能性を検討し,農場と会員の居住区域が近接して,一定の会員数が確保できる都市近郊地域において成立の可能性があることを指摘した。 4)哲学者・内山節氏との2回目の意見交換を行った。内山氏の著書『共同体の基礎理論』の合評会の後,共同体に関する議論では,資源の私有や継承,共同体を考える上で個人と共に家を抜きにしてはできないこと。また,新しい共同体を模索するのであれば,それを構成するのは個人か家族なのかなどについて議論を深めた。
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