Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波夛野 豪 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (30249370)
万木 孝雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30220536)
唐崎 卓也 農村工学研究所, 農村基盤研究領域, 主任研究員 (10370529)
千年 篤 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (10307233)
山崎 亮一 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10305906)
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Research Abstract |
本研究では,「半商品」=「生産者と消費者が商品を超えた使用価値を見いだした農林産物」の生産と流通を行う事例を国内及び海外の調査により広く探索する。そして,「半商品」を生み出す生消共生型の生産と流通のあり方を分析するためのフレームワークを理論的・方法論的に確定する。 1)半商品の概念規定 半商品とは商品の取引において社会的な関係性を重視し,生産者の個性が残っているため,市場取引を超えた交換形態が相応しいものである。特に,農産物は半商品の例示として相応しく,農産物取引が半商品的取引に転換しやすいのは,(1)日常性・多様性,(2)生産物の非均質性,(3)生産・消費の近接性,(4)公共財の利用と保全・創出,(5)歴史性などの特性があるからである。 2)半商品経済視点からのCSA分析 CSAの源流であるスイスでの取り組みと国内の産消提携との比較において,半商品経済の視点からCSAの特徴と国内での展開の可能性を検討した。その結果,有機農産物のやり取りのための関係と,その関係性における食の自給,安全を確認できる生活の在り方を希求する自給農場的なCSAは半商品経済関係の器足り得ると言える。 3)半商品の視点による産直農産物購入者の類型化分析 農産物供給組織において,商品を購入している会員へのアンケート調査の結果,産直野菜の商品性とは,「栄養を提供し,おいしい味覚があり,安全性が高い」ことが期待されて取引が行われるモノ自体に対する評価であった。またそれに付加される形の半商品性とは,「その商品に関する,生産,流通,販売などを安定的に支える」ために必要であると判断された対価と考えられた。
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