Research Abstract |
作物生育パラメータについて航空機計測と実測値の関係を調べるため,昨年度に引き続いて北大北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場において生育調査を行い,上空からも航空磯レーザ計測および画像計測を実施した。本年度は主としてレーザ光の植皮層内への入射角度による草高の推定値の変化に注目した。対象作物は水稲,スイートコーン,馬鈴薯,ダイズ,小麦,イネ科牧草,デントコーンとした。 2010年7月に観測を実施し,レーザ計測データを用いて実測値と入射角の関係に着目し,作物ごとに入射角が異なる7~9の評価区を設けた。作物の評価区域ごとに入射角0~4°,4°~8°,8°~のデータ群S,M,Lに分類し,実測値に対する航測データの平均値の分布を調べたところ,スイートコーンの場合は圃場内の比較的草高の低い評価区にS,Lが混在し,同じ実測草高に対してデータ群Sの方が全体的に航測データによる推定値が高い値をとった。スイートコーン以外に燕麦も,テータ群S,Lの間に有意差が認められた。レーザ草高よりも実測値の方が全体的に高く,〔実測値-航測データ〕は常に正の値となった。その差の平均値をみると,有意差の認められた小麦では入射角の小さい場合(S)の方が測定誤差は大きく,レーザが群落内により深く進入しているといえる。同じく有意差の認めらめたスイートコーン,燕麦では入射角の大きい場合(L)の方が,測定誤差が大きくレーザが群落内により深く進入しているといえる。 航空レーザ計測による作物草高の推定に及ぼすレーザ入射角の影響について調べた結果,草高の推定の場合と同様に入射角についても,作物種の違いによる相関の相違があることが分かった。原因として葉が縦に細長い形状の作物,横に広がりやすい作物などの草形の違いや,群落構造の影響が考えられ,これらを解明することが課題として残った。
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