2011 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症脆弱因子としてのPACAP遺伝子の分子基盤解析
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21390069
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 名誉教授 (70107100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 紀人 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (10335367)
早田 敦子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (70390812)
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Keywords | PACAP / 統合失調症 / 脆弱因子 / 環境因子 / 環境因子 / 疾患マウスモデル |
Research Abstract |
本研究は,これまで明らかにしてきた統合失調症脆弱因子としてのPACAPの分子基盤を確立することを目的とし,23年度は以下の成果を得た. 1)発達期における豊かな環境飼育でのPACAP欠損マウス学習記憶障害抑制作用は,少なくとも再び通常飼育とした14日後まで持続することを明らかにした.また生化学的検討から,PACAP欠損マウスの海馬特異的にNR2B発現量の増加,ERKおよびCaMK IIシグナルの活性化が生じることを明らかにした.以上の結果は,豊かな環境飼育によるPACAP欠損マウスの学習記憶障害抑制作用の分子機序として,海馬でのNR2B含有NMDA受容体の機能変化を介したERK,CaMK IIシグナルの活性化の関与を初めて示唆したものである. 2)5-HT2AR・mGluR2/3複合体へのPACAPの関与を解析するために,5-HT2ARの細胞膜上での可視化を試み,刺激による細胞内動態を測定した.その結果,PACAPにより5-HT2ARの細胞内局在変化が認められた.このことは,PACAPが特異的受容体PAC1を介して5-HT2ARに関与することを示唆する. 3)5-HT2A/2CR作動薬DOIによりc-Fos陽性細胞数の上昇がみられたPACAPヘテロ欠損マウスの大脳皮質体性感覚野(SSCx)において,c-fosと5-HT2ARとの相関を調べた結果,増加したc-fosは,5-HT2ARを発現していない神経細胞であることが分かった.このことは、DOIによるhallocinogenicな作用が直接的にSSCxに作用するのではなく,他の神経回路や伝達物質を介した変化である可能性を示す. 4)神経細胞のスパイン動態の分子基盤解明を目的として,PSD-95に蛍光蛋白質を融合させたプラスミドを作製し,生理的活性を持った発現を確認した.これを用いて,今後イメージング解析へと発展させることができる.
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[Journal Article] Activation of metabotropic glutamate 2/3 receptors attenuates methamphetamine-induced hyperlocomotion and increase in prefrontal serotonergic neurotransmission2011
Author(s)
Ago Y, Araki R, Yano K, Hiramatsu N, Kawasaki T, Chaki S, Nakazato A, Onoe H, Hashimoto H, Baba A, Takuma K, Matsuda T
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Journal Title
Psychopharmacology (Berl)
Volume: 217(3)
Pages: 443-52
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] PACAP centrally mediates emotional stress-induced corticosterone responses in mice2011
Author(s)
Tsukiyama N, Saida Y Kakuda M, Shintani N, Hayata A, Morita Y, Tanida M, Tajiri M, Hazama K, Ogata K, Hashimoto H, Baba A
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Journal Title
Stress
Volume: 14(4)
Pages: 368-375
DOI
Peer Reviewed
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