2009 Fiscal Year Annual Research Report
恒常性維持における炎症反応制御とその異常における誘導型転写制御因子の機能
Project/Area Number |
21390088
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牟田 達史 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60222337)
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Keywords | 遺伝子 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 発現制御 / 免疫学 / 炎症 / IκB-ζ / NF-κB |
Research Abstract |
微生物由来成分によって活性化される自然免疫系は、自己由来の内因性物質をも認識すること、さらにその過度の刺激が種々の慢性炎症性疾患の病態に寄与することが最近認識されつつある。研究代表者が発見したIκB-ζ(zeta)は、自然免疫刺激時に発現誘導され、炎症応答の選択的遺伝子発現の鍵を握る分子である。IκB-ζ遺伝子欠損マウスは、SPF環境下で皮膚や眼瞼(まぶた)結膜に慢性炎症を自然発症する。本研究ではIκB-ζ欠損マウスで観察される慢性炎症の原因と特異的発現機構の解析及び、死細胞に対する細胞応答の解析を介して、恒常性維持における炎症応答卸御の分子機構と生理的意義の解明を目指すものである。 IκB-ζ欠損マウスをtumor necrosis factor-α欠損マウスと交配し、二重遺伝子欠損マウスを作製したが、慢性炎症症状に大きな変化は観察されなかった。一方、Rag2欠損マウスとの二重遺伝子欠損マウスを作製したところ、顕著な症状がほぼ消失し、リンパ球の存在が発症に重要であることが判明した。一方、IκB-ζ欠損マウス由来の胎児肝細胞を、予め放射線照射した野生型マウスに移植し、IκB-ζ欠損造血細胞をもつ骨髄キメラマウスを作製したが、このマウスでも症状が観察されず、この慢性炎症は、放射線抵抗性の皮膚等に局在する細胞と獲得免疫系の細胞の両者が関与した機構を介して発症することが明らかになった。 また、マウスマクロファージは、壊死細胞由来の物質にToll-like receptor/interleukin-1 receptor非依存的かつnuclear factor-κB非依存的に応答し、ケモカインの産生を誘導することを明らかにした。
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