2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患関連転写制御因子の生命機能における基盤的研究
Project/Area Number |
21390102
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
白澤 専二 福岡大学, 医学部, 教授 (10253535)
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Keywords | 自己免疫疾患 / ZFAT / 転写制御因子 / 遺伝子ネットワーク |
Research Abstract |
ZFAT遺伝子は18個のC2H2型zinc-finger motifと1個のAT-hook motifを含む1237アミノ酸残基の転写関連因子様タンパクをコードし、魚類からヒトに至るまで高度に保存された遺伝子である。ZFATを軸とした転写ネットワークの解明のために、ZFAT機能解析およびZFAT-DNA相互作用解析を柱とする転写制御ネットワーク解析を開始し、以下のような研究成果を得た。 ZFAT機能解析およびZFAT-DNA相互作用解析:ZFATの機能解明とZFATを中心とした転写ネットワークの解明を目的として、ZFAT欠損マウスを樹立し、その表現型解析と分子レベルでの解析を行った。その結果、ZFAT欠損マウスは発生初期に胎生致死となることが判明し、ZFATが正常なマウス発生過程に必須の遺伝子であることが示唆された。また、病理組織学的・分子生物学的解析による詳細な解析の結果、ZFAT欠損により造血前駆細胞の分化異常が明らかとなり、さらにその分子機序に関するZFAT転写制御機構について解析を進めた。ZFAT欠損マウスでは造血前駆細胞の分化に必須の転写因子群の発現が抑制されていることが明らかとなり、ChIP-PCRおよびレポーター解析から、ZFATがそれらの転写因子群(TAL1,LMO2,GATA1)を転写制御していることが示され、ZFAT欠損がもたらす発生学的異常およびその分子機序に関するZFAT転写制御機構の一端が明らかとなった(Tsunoda T et al.Proc Natl Acad Sci USA, 2010)。一方、ヒト臍帯静脈内皮細胞における血管内皮細胞の管腔形成の実験系でのZFATの機能解析を行った結果、ZFAT発現抑制時では血管内皮細胞の管腔形成が阻害されることが明らかとなり、さらなる詳細な解析が期待された。
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