2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスエンベロープ形成とウイルス伝播を制御する細胞性膜分子の機能解析研究
Project/Area Number |
21390137
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小柳 義夫 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80215417)
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Keywords | HIV / エンベロープ / 膜蛋白質 / BST-2 / アクセサリー蛋白質 / Vpu |
Research Abstract |
エンベロープウイルスの粒子には、細胞膜由来の脂質二重膜にウイルス由来のEnv蛋白質と細胞由来の因子が共存し、複合体として存在する。そして、これらの形成は細胞内の種々の分子により制御されている。まず、HIV-1 Envの取り込みを促進する因子として報告されたTip47蛋白質について申請者が再現実験を試みたが、その介在の可能性は証明できなかった。そこで本年度の実験は、ウイルス粒子内に取り込まれて、細胞からのウイルス粒子の遊離を抑制する細胞性膜蛋白質BST-2の解析を中心にすえた。BST-2のウイルス放出抑制は、HIV-1のアクセサリー蛋白質のひとつであるVpuにより解除されるが、そのVpuの作用機序は明らかになっていない。申請者はBST-2とVpuが複合体形成を形成することを、分子間相互作用を生細胞で検出できるbi-molecular fluorescent complementation法を用いて明らかにした。さらに、ヒトBST-2、および、Vpuと複合体を形成しないマウスBST-2を使って、マウスとヒトのキメラBST-2を作製し、ヒトBST-2との分子間相互作用部位がその膜貫通部にあることを見いだした。次に、種々のBST-2変異体を用いた実験からVpuとの結合に関わるアミノ酸部位として、I34、L37およびL41がそれぞれ必須なアミノ酸残基であることがわかった。興味あることに、これらの残基はVpuに拮抗されないサル種のBST2膜貫通部に広く保存されていたが、その上流部の2アミノ酸欠損によりVpuとの結合能が消失することがわかった。これらのヒトBST-2の1アミノ酸変異体は、いずれもVpuによるウイルス放出促進作用(すなわち、BST-2拮抗作用)に対して反応性を消失することから、I34、L37およびL41残基は機能的にも重要であることがわかった。
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[Journal Article] HIV-1 Vif interacts with TP53 to induce G2 cell cycle arrest and positively regulate viral replication2010
Author(s)
Izumi T, Io K, Matsui M, Shirakawa K, Shinohara M, Nagai Y, Kawahara M, Kobayashi M, Kondoh H, Misawa N, Koyanagi Y, Uchiyama T, Takaori-Kondo A
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences, USA
Volume: 107
Pages: 20798-20803
Peer Reviewed
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