2011 Fiscal Year Annual Research Report
救命センターにおける「先制攻撃的感染予防策」の効果に関する研究
Project/Area Number |
21390163
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田崎 修 長崎大学, 大学病院, 教授 (90346221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50196474)
朝野 和典 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40202204)
松本 直也 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (50359808)
入澤 太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教 (50379202)
廣瀬 智也 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70597509)
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Keywords | NETs / 先制攻撃的感染予防策 / MRSA / SIRS |
Research Abstract |
今年度は、院内感染対策に関する2つの論文発表を行った。第1の論文では、ICU入室時におけるMRSAの医療関連感染に関するリスクファクターを明らかにした。そのリスクファクターとは、救命センター入室から24時間以内での気管挿管、開放創の存在、抗生剤投与、およびステロイド投与である。この結果は、MRSA感染対策を早期に開始するにあたり重要な指標になりうる。第2の論文では、救命センターに入院となった患者の内、挿管患者に対して「先制攻撃的」接触予防策を行うことにより、救命救急センター全体の医療関連感染率(MRSA)を低下させることが可能であることを示した。救命センタースタッフの業務は激務であり、すべての患者に感染対策を徹底させようとすればするほど感染対策が徹底されず院内感染が増加するという結果につながる。本論文では院内感染対策を挿管患者に集中させ効率的院内感染対策を行うことにより、救命センター全体の医療関連感染を減少させることができることを示したものでありその意義は非常に大きい。 今年度は、NETs (Neutrophil Extracellular traps)に関する研究も行い、1つの論文発表も行った(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, in press)。本論文は、急性呼吸器感染症の喀痰中にNETsが発現することを示すとともに、その動的変化を明らかにしたものである。本論文では喀痰中のNETsを経時的に追跡し、感染の顕在化とともにNETsの発現量が増加し、感染の消褪にやや遅れてNETsが細小化し減少するという事実を報告した。 また、SIRS (Systemic inflammatory resbonse syndrome)患者の血液においてNETsが検出されることを明らかにした。本研究では、健康成人(n=8)の血液にはNETsは全く認められないのに対し、SIRS患者21例においては10例(47.6%)にNETsが認められたこと(p<0.05)、また非感染性の高度侵襲下(外傷や熱傷等)においても血液中にNETsが発現することを明らかにした。本研究結果は、臨床病態でのNETsの役割を考える上で極めて重要な知見である。
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Research Products
(5 results)