2010 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の病院における専門職連携協働の質的評価に関する研究
Project/Area Number |
21390167
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大嶋 伸雄 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (30315709)
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Keywords | 専門職連携協働 / 専門職連携教育 / フォーカスグループ / 臨地実習 / チーム医療 / 病院の質的評価 / 多専門職連携 / ファシリテータ |
Research Abstract |
平成22年度には平成21年度の研究結果より得られた臨床現場における"連携協働"の概念から,実際に臨床現場で考えられている"連携の実態"と"臨床サービスの質"について調査するための評価リストを構築した。次に,病院の現場に専門職学生グループを派遣するインタープロフェッショナル臨地実習(以下,IP臨地実習)の実施準備を行った。学生が実習先の病院で症例インタビューを通じて行う"臨床現場の質的評価"を"専門職の連携力"中心に組み立てるためのフォーカスグループ・インタビューで1グループの調査を実施した。また,IP臨地実習学生グループを担当するファシリテータ(現職者)を育成するため,英国から講師(Hugh Barr教授,University of westminster)を招へいして3日間の研修会を実施した。その際,参加者への集中インタビューを通じて,臨床現場における英国とわが国との文化的,制度的,習慣的および思考的な違いと問題点,課題の所在などについて分析した。以下は,その結果の概要である。 (1)わが国の臨床現場(病院)で考えられている"連携の概念"は"患者が求めるサービス"のためにではなく,"治療を優先した医療の適正化と効果"を中心に考えられているため,サービスの提供者と受け手には乖離が生じている。 (2)IP臨地実習参加学生へのフォーカスグループ・インタビュー,およびファシリテータ(現職者)へのインタビューを通じて,病院内における連携協働の質的検討(病院自体のグレード比較評価ではない)を行い,その因子を抽出した結果,7つのグループと32の因子が選択された。 (3)英国の臨床現場におけるファシリテータ養成ならび様々な連携協働を促進するための実践的試みとの比較から,わが国の臨床現場(一般病院施設)における"連携協働"は組織的に実施され,そのために専門職というより職員個人の資質にフォーカスが当てられている可能性が大きい。よって,わが国では,専門職の違いを超えた個人の「使命感」や「自己効力感」がチームワークを構成するという特異な文化特性に根ざしている可能性が高かった。
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Research Products
(11 results)