2009 Fiscal Year Annual Research Report
最新技術による分子・個体レベルの統合的ヒスタミン研究と神経変性疾患への応用
Project/Area Number |
21390171
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷内 一彦 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 建彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 名誉教授 (70028356)
倉増 敦朗 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90302091)
櫻井 映子 いわき明星大学, 薬学部, 教授 (90153949)
吉川 雄朗 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70506633)
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Keywords | ヒスタミン / 中枢神経系 / アルツハイマー病 / 分子イメージング / PET / ノックアウトマウス / 抗ヒスタミン薬 |
Research Abstract |
本研究は十分に明らかにされていない中枢におけるヒスタミン系の役割を、最新技術による分子・細胞・動物個体レベルの研究を統合する薬理学で研究し、その成果を探索的臨床研究に結びつけることを最終目標としている。 分子薬理学的研究:アルツハイマー病治療薬の標的分子として期待されているH3受容体について分子薬理学的研究を行った。ヒトH3受容体のC末を除去した変異H3受容体は、リガンド結合特性や総受容体および細胞表面のH3受容体には変化がなかったが、作動薬によるcAMP反応や[^<35>S]GTPγS結合が消失した。H3受容体のC末はH3受容体のシグナル伝達に重要であることが明らかになった。 個体レベルの研究:痛みと拘束ストレスにおけるヒスタミン受容体の役割を明らかにするためにヒスタミンH1およびH3受容体遺伝子ノックアウトマウス(H1KOとH3KO)を用いて行動薬理学研究を行った。モルヒネ鎮痛効果はH3KOマウスで増強しており、野生型マウスにおいてモルヒネとチオペラミド(H3アンタゴニスト)を同時に脊髄腔内に投与した場合にもモルヒネ鎮痛効果が増強していた。また拘束ストレスにおいてH1KOはオープンフィールドでの行動で拘束ストレスの強い影響を受けるが、H3KOやH1KOとH3KOのダブルノックアウトマウス(DKO)は拘束ストレスの強い影響を受けない。ヒスタミンはストレス抵抗性に関与する因子であり、拘束ストレスによりH3受容体が強くダウンレギュレーションすることがwestern blotで明確になった。 分子イメージング研究:アルツハイマー病におけるヒスタミン系の関与を明らかにするために、レビー小体型認知症(DLB)におけるH1受容体とアセチルコリンエステラーゼの測定を開始し、さらに鎮静性抗ヒスタミン薬でありアルツハイマー病の認知機能を改善すると報告されているdimeboneを炭素11で標識することを試みている。
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Research Products
(6 results)