2011 Fiscal Year Annual Research Report
最新技術による分子・個体レベルの統合的ヒスタミン研究と神経変性疾患への応用
Project/Area Number |
21390171
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷内 一彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50192787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 建彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 名誉教授 (70028356)
吉川 雄朗 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70506633)
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Keywords | ヒスタミン / 神経変性疾患 / H3受容体 / 分子イメージング / PET / PMAT / H1受容体占拠率 / 膵ランゲルハンス島β細胞 |
Research Abstract |
セロトニントランスポーターやノルアドレナリントランスポーターはその神経系の恒常性維持に極めて重要な働きをしていることから、様々な薬剤がこれらを標的として開発されてきた。 一方、シナプス間隙に放出された神経ヒスタミンの輸送メカニズムについては特異的トランスポーターが報告されていないために、ヒスタミン神経系の全容を解明する上で大きな課題となっていた。本研究では非特異的トランスポーターを含めてヒスタミンの輸送メカニズムを分子薬理学的に研究した。すなわちヒスタミンの再取り込み機構について初代培養ヒトアストロサイト細胞と腫瘍細胞ラインであるヒトアストロサイトーマ由来細胞を用いて研究し、PMAT(plasma membrane monoamine transporter)が関与することを詳細に明らかにした。さらに膵臓ランゲルハンス島β細胞由来MIN-6細胞とマウスからにヒスタミンH3受容体が存在して機能することを証明して、H3受容体を介するインスリン遊離メカニズムを明らかにした。 トレッドミルを用いる新しい睡眠除去ラットモデルを作成して、睡眠除去がヒスタミン神経系とオレキシン神経系を同様に睡眠除去により活性化して、不安関連行動を増加させることを明らかにした。さらに小動物用PET/CTを用いた薬理学的分子イメージング研究方法を確立した。今まで前臨床試験として行われていなかった抗ヒスタミン薬の受容体占拠率測定を[^<11>C]ドキセピンを用いて行った。レボセチリジン(1mg/kg,PO)がモルモットの脳内のH1Rにほとんど影響を及ぼさなかったのに対して、第一世代抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミン(20mg/kg,PO)は多くの受容体を占拠していた。脳内移行性に関する小動物PET/CTを用いた分子イメージングは前臨床試験として有用な方法である。
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