2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物誘導性肝障害におけるマイクロRNAの役割とバイオマーカーとしての評価検討
Project/Area Number |
21390174
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横井 毅 Kanazawa University, 薬学系, 教授 (70135226)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 達基 金沢大学, 薬学系, 助教 (00532300)
|
Keywords | microRNA / 胆汁うっ滞モデルラット / 肝細胞障害モデルラット / 薬物誘導性肝障害 / バイオマーカー |
Research Abstract |
【目的】肝障害は肝細胞障害型、胆汁うっ滞型、脂肪性肝炎などに分類されるが、それぞれの病型に特異的なマーカーが存在せず、診断が困難である。近年、22塩基程度のnon-coding RNAであるmicroRNA(miRNA)が血中に安定的に存在し、癌や糖尿病などの病態を反映するバイオマーカーとなりうることが報告された。本研究ではmiRNAが肝障害の病型を区別し、高感度に診断できるバイオマーカーとなるか明らかにすることを目的とした。 【方法】雄性のSDラット(5週齢)に肝細胞壊死のモデルとしてacetaminophenまたはmethapyrileneを、胆汁うっ滞モデルとしてcyclosporine Aまたはα-naphthylisothiocyanateを投与した。また、慢性肝障害である脂肪化、脂肪性肝炎および線維化のモデルとしてhigh fat diet、methionine chorine-deficient diet、carbon tetrachlorideをそれぞれ用いた。肝障害の程度はALT等の血清マーカーおよび病理組織学的検査により確認した。miRNAの発現量は、血漿および肝臓よりmiRNAを精製後、TaqMan microRNA arrayを用いて網羅的に解析した。 【結果および考察】肝細胞壊死により血中miR-122発現量の顕著な上昇が認められ、ALTに比べ迅速かつ鋭敏に肝障害を検出できることが示された。また、中心静脈周辺に炎症を起こしたモデルでは他の特異的なマイクロRNAが、門脈域に炎症を起こしたモデルでは他のマイクロRNAの発現に変動が認められた。さらに、胆汁うっ滞、脂肪化、脂肪性肝炎および線維化モデルにおいても、それぞれ特徴的な血中miRNAの発現変動が認められた。以上、血中miRNAは種々の肝病態を反映するバイオマーカーとなり得ることが示唆された。(具体的な記述は特許申請後に明らかにする予定。)
|
Research Products
(5 results)