2011 Fiscal Year Annual Research Report
受傷後早期に発見する新しいマーカーを利用した法医病理学的診断法の確立
Project/Area Number |
21390216
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中園 一郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30108287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池松 和哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80332857)
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Keywords | 皮膚損傷 / 蛋白質 / 受傷時期推定 / 法医剖検例 |
Research Abstract |
法医解剖における外表検査,特に損傷の検査は死因の究明とともに重要な検査の一つであり、その結果をもとに成傷方法や成傷時期の推定等が行われる。しかし、これまでの種々のマーカーを利用した検査法では、早期(1から5日以内)の受傷時期を診断することは困難であり、新しいマーカーの開発は法医実務上必須である。我々は、マウス皮膚損傷モデルにてc-fos、FosB、MKP-1が損傷後1時間以内に、CD14、CCL9が12時間から24時間に、PlGF、MCP-5が約5日にそれぞれの遺伝子発現量(mRNA)に有意なピークが存在することを明らかにしている。この結果をもとに、c-fos、FosB、CD14では蛋白質レベルにおいて検討を行い、ウエスタンブロッティング法にて、c-fos、FosBは受傷後1及び2日目に、また、CDl4は、3から5日に特異的に各蛋白質の発現が認められることを確認した。また、組織学的検討では、CDl4は、損傷部周囲のマクロファージに特異的に発現していた。従って、法医実務におけるCDI4の発現検討は、受傷時期推定に極めて有用であると推定される。さらに、c-fos、fosBについても組織学的検討を行ったところ、損傷部周囲の細胞内(核内)に特異的に発現していた。これらの発現時期は、ウエスタンブロッティング法を用いて確認可能であった時期と同一であった。さらに、ヒト組織においてこれらの発現を確認した。C-fos、CD14は発現を確認可能であったが、,fosBはヒト組織においては確認することはできなかった。前両者はマウスと同様に3から5日に特異的に各蛋白質の発現が認められたので、これらは時期特異的な損傷マーカーと考える。
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