2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム解析による新規AKIバイオマーカーの網羅的探索と検査薬の開発
Project/Area Number |
21390263
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
曽我 朋義 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60338217)
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Keywords | 急性腎障害 / バイオマーカー / メタボローム |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者らが発見した急性腎障害(AKI)の鋭敏なバイオマーカーであるミッドカインについて、尿細管上皮細胞での全代謝物動態(メタボローム)の観点から機能解析を推進して未解決の基本的な課題を検討するとともに、尿中メタボロームを標的とした新規AKIバイオマーカーの網羅的探索を行って、AKIの鑑別および早期診断を実現するAKI診断検査薬の開発に向けた研究基盤の確立を目指す。 平成22年度も、昨年度に引き続きCE-MSを用いたメタボローム解析技術を用いて"実験(1):鑑別診断用代謝物バイオマーカーの探索"および"実験(2):早期診断・予後推定用代謝物バイオマーカーの探索"に取り組んだ。すなわち、実験(1)では申請者がこれまでの研究過程で採取し凍結保存していた各種腎疾患{AKI(虚血、造影剤腎症、抗ガン剤、敗血症)、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、IgA腎症、膜性腎症、SLE、等}および健常人の尿サンプルコレクション(合計840検体)から、各腎疾患につき5~20例を選択して、腎疾患毎の基本的メタボロームプロファイルの取得に成功した。得られたデータに基づいてAKI特異的な代謝物濃度の増減をあぶり出し、新規AKI鑑別用バイオマーカー候補群として複数の代謝物を同定した。一方、実験(2)では申請者がこれまでの研究過程で採取し凍結保存していた腹部大動脈瘤置換術時に術前から術後ICU退室時まで経時的に連続採取したAKI発症群および非発症群の尿サンプル(両群5~10人分)に加えて、新規に採取した同様のサンプル(AKI+非AKI:50症例以上)を用いて、AKI発症群および非発症群の各メタボロームプロファイルの取得に成功した。得られたメタボロームプロファイルからAKIを発症する可能性の高い患者を手術前・途中から予測可能な新規早期診断・予後推定用バイオマーカー候補を複数個同定した。
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