2011 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症のグリア細胞の分子病態の解明を通じた治療法の開発
Project/Area Number |
21390274
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山中 宏二 独立行政法人理化学研究所, 運動ニューロン変性研究チーム, チームリーダー (80446533)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 日出巳 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (80219617)
黒川 洋一 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (40326088)
|
Keywords | 神経変性疾患 / グリア / 筋萎縮性側索硬化症 |
Research Abstract |
代表者らは筋萎縮性側索硬化症(ALS)の疾患進行にグリア細胞の病的変化が関与することを明らかにしてきた。本研究はその成果に立脚し、神経-グリア連関の破綻による神経変性機構の解明を目標にいくつかの鍵分子に着目して検討している。昨年度に引き続き変異SOD1マウスの疾患進行における2種のグリア関連遺伝子MMP12,a7nAChRの役割を検討した。ミクログリアに発現するMMP12、a7 nAChRの神経変性における役割を検討するため、それぞれSOD1G93Aマウスの交配実験を行い、生存期間や疾患進行への影響を検討した。MMP12の除去により変異SOD1マウスの生存期間が短縮する傾向がみられたが,統計学的な有意差はみられなかった。SOD1G93Aマウスとa7 nAChR KOマウスの交配実験では、ALS後期症状期間に延長傾向を認めたが、生存期間、罹病期間ともに統計学的有意差を認めなかった。本モデルマウスでは、ミクログリアと運動ニューロンの両方でa7 nAChRが欠損しているため、炎症反応に対する保護性および障害性の複合効果が観察されたと考えられる。また、in vitroにおいて、精製した野生型SOD1または変異SOD1(A4V、G93A)タンパク質を、Metal-Catalyzed Oxidationを引き起こす条件下でインキュベートした際の多量体化を抑制する化合物を探索したところ、いくつかの植物由来化合物(フィトケミカル)に顕著な抑制効果を見いだすことが出来た。さらに、SOD1異常化の引き金になると考えられるアミノ酸の酸化に対する抑制化合物をin vitroにおいて探索したところ、いくつかの抗酸化物質に有効性を見いだした。
|