2009 Fiscal Year Annual Research Report
造血型GATA転写因子の機能破綻に起因する白血病発症メカニズムの解析
Project/Area Number |
21390288
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 律子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (40226262)
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Keywords | GATA転写因子 / 白血病 / 遺伝子改変マウス / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
GATA1は赤血球や巨核球、好酸球、肥満細胞に発現し、それぞれの分化に重要な役割を担っている。マウスGatal遺伝子には、血液細胞特異的なGATA1発現に重要なIEエキソンと、精巣セルトリ細胞特異的なGATA1の発現に重要なITエキソンが存在し、IEエキソンを欠失したマウスがGATA1完全欠失マウスと同様に卵黄嚢造血不全により胎生致死となることから、IEエキソンが赤血球系でのGATA1の発現に必須であることが分かっている。今年度は、IEエキソンの後天的欠失マウスを作成し、成獣骨髄でのIEエキソンの機能を解析した。後天的IEエキソン欠失マウスは、後天的GATA1欠失マウスと同様に貧血、血小板減少を示していたが、赤血球系の前駆細胞が著減する後天的GATA1欠失マウスの表現型と異なり、むしろ未熟な赤芽球が増加していた。さらに、赤血球分化表面マーカー解析から、成熟赤血球マーカーであるTER119の発現強度が減少していたものの、TER119陽性CD71陰性で形態的にも正染性赤芽球に酷似した赤芽球が認められた。驚いたことに、欠失したIEエキソンを代償して、通常は赤血球では使用されていないITエキソンや、IEb/cエキソン(好酸球で使用されているという報告がある)や、第一イントロン内の新規のエキソン(Id)を用いてGATA1 mRNAが産生されていた。さらに、これらの異常mRNAからは正常な完全長GATA1タンパク質は翻訳されず、N末端領域が欠失した短型GATA1が翻訳されていた。短型GATA1はダウン症関連白血病で高率に認められるGATA1変異であり、これらの知見は、後天的なGATA1 IEエキソンの機能異常が白血病発症に関連する可能性があることを示唆している。
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Research Products
(13 results)