2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞を用いた先天性骨髄不全症候群の病因・病態の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
21390321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海老原 康博 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40302608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 浩一郎 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50179991)
江藤 浩之 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (50286986)
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Keywords | iPS細胞 / ダウン症候群 / 重症先天性好中球減少症 / 巨核球 / 赤血球 / 好中球 |
Research Abstract |
1)ダウン症候群患者由来iPS細胞の造血/血液細胞への分化の解析 昨年度の成果により、ダウン症候群患者由来ips細胞では、健常人由来ips細胞と比較して、AGM-3細胞との共培養法を用いて分化誘導すると、造血/血液細胞への分化能が亢進していることが明らかになったため、本年度は、各血球系細胞への分化能について検討した。その結果、ダウン症候群患者由来iPS細胞では、特に赤血球系及び巨核球系細胞への分化能が優位に亢進していることが示され、このことがダウン症候群の造血障害発症の一因になっていると推測された。 2)重症先天性好中球減少症(SCN)患者由来ips細胞の樹立とその解析 SCN患者骨髄ストローマ細胞にOCT3/4、SOX2、KLF4、c-MYCの4遺伝子を導入し、iPS細胞を樹立した。AGM-3細胞と共培養した後、血液コロニー形成法を用いて血液細胞への分化誘導を検討した。その結果、SCN患者由来ips細胞は、マウスAGM-3細胞との共培養後の血液コロニー形成は、健常人由来iPS細胞と比較して、赤芽球コロニーや混合コロニーは変わりないが、好中球系コロニーは小さなコロニーが多く、コロニー数も減少していた。また、G-CSFの過剰量投与によりSCN患者由来ips細胞からの好中球系コロニーの大きさと数は増加した。これらの結果は、樹立されたSCN患者由来ips細胞は、血液細胞へ分化誘導することによりSCNの病態をよく再現することを示しており、本疾患の病態解明のために有用であると考えられた。
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Research Products
(36 results)