2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞を用いた先天性骨髄不全症候群の病因・病態の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
21390321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海老原 康博 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40302608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 浩一郎 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (50179991)
江藤 浩之 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50286986)
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Keywords | iPS細胞 / ダウン症候群 / 重症先天性好中球減少症 / RUNX1 / 好中球 / WNT3a |
Research Abstract |
1)ダウン症候群患者由来iPS細胞の造血/血液細胞への分化の解析 昨年度までの成果により、ダウン症候群患者由来iPS細胞では、健常人由来iPS細胞と比較して、造血/血液細胞への分化能が亢進していることが明らかになった。そこで本年度は、ダウン症候群患者由来iPS細胞で更新している造血の性状と、これを惹起している分子メカニズムについて解析をした。その結果、ダウン症候群患者由来iPS細胞で更新している造血/血液細胞は、一次造血ではなく、二次造血を起源としていることが明らかとなった。また、ダウン症候群患者由来iPS細胞と健常人由来iPS細胞から造血/血液細胞への分化過程における遺伝子発現をマイクロアレイで解析したところ、21番染色体上のRUNX1の発現が亢進しており、このことはリアルタイムPCR法による解析でも確認された。以上の結果は、ダウン症候群患者の造血障害には、21番染色体トリソミーによるRUNX1の発現亢進が深く関与している可能性を示唆している。 2)重症先天性好中球減少症(SCN)患者由来iPS細胞の成熟好中球への分化障害の解析 昨年度我々はSCN患者の骨髄ストローマ細胞からiPS細胞を樹立した。樹立されたiPS細胞から分化誘導された好中球は成熟障害を示し、SCNの病態をよく反映していることを明らかにした。そこで本年度は、SCNにおける成熟障害を惹起している分子メカニズムについて検討した。マイクロアレイおよびリアルタイムPCRにより、LEF-1、C/EBP-_ε、ELA2、BCL2遺伝子等の発現が低下していた。また、WNT/β-Catenin経路により制御されているCyclinD1やC/EBP-_α等の遺伝子の発現も低下していたため、WNT3a蛋白を加えて分化誘導したところ、SCN患者iPS細胞由来の好中球が成熟した。以上の結果は、SCNの病態にはWNT/β-Catenin経路が関与しており、WNT3aによる治療の可能性が示された。
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Research Products
(53 results)
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[Book] 細胞2011
Author(s)
遠藤大, 他
Total Pages
367-370
Publisher
ニューサイエンス社
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