2010 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の病態生理におけるカンナビノイドの重要性についての研究
Project/Area Number |
21390332
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
橋本 隆紀 金沢大学, 医学系, 准教授 (40249959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 重誠 金沢大学, 附属病院, 講師 (00323006)
山田 和男 金沢大学, 理化学研究所・分子精神学研究チーム, 副チームリーダー (10322695)
吉原 亨 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (00401935)
西内 巧 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (20334790)
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Keywords | 死後脳 / GABA伝達 / マイクロアレイ解析 / 思春期 / 遺伝子多型性 / 大麻 / 先行刺激抑制 |
Research Abstract |
(1)死後脳における遺伝子発現解析 同じ死後脳バンクを用いた研究により、統合失調症の大脳皮質においては内在性カンナビノイドの合成・分解を行う代謝酵素の発現には、変化が無いことが報告された(Volk et al. 2010)。そこで、我々はカンナビノイドにより機能調整を直接受けることが知られている電位依存性カリウムチャンネルサブユニットの中で、統合失調症で変化の認められる介在ニューロンに特異的に発現するものとしてKCNS3を同定し、その統合失調症における発現変化を調べた。その結果、統合失調症例の前頭前野では、KCNS3 mRNAの発現が、健常例に比べ23%低下(P=0.014, F_<1,19>=7.25)している事が判明した。 (2)内在性カンナビノイドに関連する遺伝子の変異の検索 GABA系神経伝達の制御に関係する遺伝子群について統合失調症罹患者および健常対照群でのSNPs (single nucleotide polymorphisms)による関連研究を行い、カンナビノイドCB1受容体およびCB2受容体に存在する複数のSNPsに疾患脆弱性を認めた。さらに、統合失調症死後脳(BA8)では健常者に比べてCB1受容体の遺伝子発現が増加していることを確認した。 (3)動物モデルにおけるカンナビノイド過剰が神経回路に及ぼす影響の評価 思春期におけるカンナビノイド受容体アゴニストWIN55, 212-2投与が成熟マウスの大脳皮質遺伝子発現に及ぼす影響をDNAマイクロアレイにより評価した。昨年度に加え同腹同性の2ペアのマウス(合計4ペア)を用いた。その結果、GABA伝達に関連する遺伝子の発現変化は見出されなかった。一方、錐体ニューロンの樹状突起の形成を抑制することが知られているPTEN遺伝子の発現が、増加している事が判明した。
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Research Products
(11 results)