2009 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を応用した自己心筋組織による不全心に対する新しい再生療法の開発
Project/Area Number |
21390387
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松宮 護郎 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (20314312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00243220)
倉谷 徹 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90448035)
上野 高義 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60437316)
坂口 太一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (10467574)
白川 幸俊 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20457013)
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Keywords | iPS細胞 / 心筋細胞 / 細胞シート / 心不全 / Teratoma |
Research Abstract |
本研究において、iPS細胞より分化誘導した心筋細胞を用いた心筋細胞シートに関して、以下のことが成果として得られた。 1.iPS細胞より心筋細胞への分化誘導 iPS細胞よりBIO mediumを用いて、心筋細胞を分化誘導した。この細胞は、自己拍動能を有し、心筋細胞特有の転写因子であるNkX2.5、GATA4等の発現を確認できた。またCardiac actin、Myosin light chain, myosin heavy chain等の心筋特有の構造蛋白、およびbeta-receptorがラット心筋細胞と同等に発現していることを確認した。また、同細胞をa-cardiac actinで免疫染色すると、心筋細胞に類似したサルコメアの形成を認め、connexin43染色を行ったところ、Connexin43は心筋細胞接合部に局在して発現していた。 2.iPS細胞由来心筋細胞シートを用いた心筋細胞シート この分化誘導された心筋細胞を温度応答性培養皿にてシート化した。このシートはin vitroにて自己拍動能を有した。 3.iPS細胞由来心筋細胞シートのラット慢性期および急性期梗塞モデルへの移植 このiPS細胞由来心筋細胞シートを2枚重ねにてラット慢性期心筋梗塞モデルに移植したところ、本シートは心不全心に生着し、心機能の向上を認めた。また、移植後のteratoma形成を抑制するために、in vitro培養下にて無糖培地にて細胞を培養し、未分化細胞をterminateし、iPS細胞由来心筋細胞シートを作成した。この未分化細胞の混在していない細胞シートを無胸腺ラットに梗塞心へ移植した。無糖培地法を用いることにより、teratomaの形成を抑えることができた。また、本細胞シートを移植した心臓をHGF,VEGF ELISAにて蛋白量を測定すると、コントロール群と比較し、発現が向上していた。急性期梗塞モデルにおいても、iPS細胞由来心筋細胞シートは心臓に生着し、機能改善効果を認めた。 本研究にて以上の結果が得られた。現在のところ、iPS細胞より心筋細胞への分化誘導の報告はあるが、温度応答性培養皿を用いた細胞組織体の作成の報告はなく、また同細胞シートがvivoにて生着し、機能することを示した報告は存在しない。また、臨床上問題となるのは移植後のteratomaの形成であるが、本方法を用いれば、teratomaの形成を抑制することができることを報告したのは、本研究が初めてである。この結果によりiPS細胞由来心筋細胞の生体への応用の可能性が示されたものと思われる。
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Research Products
(23 results)