2012 Fiscal Year Annual Research Report
組織培養法を応用した肺癌多臓器転移モデルによる転移先臓器特異性決定遺伝子群の同定
Project/Area Number |
21390395
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
吉増 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60316099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾浦 正二 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (10194060)
平井 慶充 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10508013)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肺癌 / 遠隔転移 / seed and soil theory / マイクロアレイ / 組織培養法 |
Research Abstract |
肺癌は多数の臓器に転移を来すが,転移の生じる臓器は症例により異なる.どの臓器に転移しやすいかについて症例ごとに個性が異なると考えられる.個々の臓器への転移のしやすさを予測する遺伝子マーカーの検索はこれまで殆んどなされていない.本研究は,組織培養法を応用して複数臓器への同時多発転移をsimulateしたin vitroの実験系に,多数のヒト非小細胞肺癌細胞株をapplyし,マイクロアレイを用いて転移先臓器決定遺伝子群の同定を行うものである.具体的には,ヌードマウス摘出臓器片(肺,肝,腎,副腎,骨,筋)をヒト非小細胞肺癌細胞株とともに組織培養し,培養組織に生着,浸潤した細胞亜株を回収し,臓器上培養を繰り返した後の細胞性状の変化をマイクロアレイにて比較する. 現在,腺癌の細胞株を中心に検討しており,PC-14を肺,肝,腎,副腎,筋,骨で継代したもの,A549を肺,肝,腎,副腎,筋,骨で継代したもの,VMRC-LCDを肺,肝,腎,副腎で継代したもの得,それぞれoriginalの細胞株からの遺伝子発現の変動をマイクロアレイで比較した.臓器ごとに共通の変動を他臓器変動とt-検定にて比較して検出し,そのうち,1.5 fold以上の変動を示した遺伝子群を選出した.これらは転移の臓器特異性を決定する候補と考えられる.肺,肝,腎,副腎,筋,骨について,それぞれ22, 212, 25, 76, 27, 141の候補が得られた.さらに、新規の細胞株であるRERF-LC-KJについて同様に調整を行い,マイクロアレイで評価した,現在、解析を続行中である.また,発現状況の変化から、副腎転移においてはsteroid耐性因子であるCALB1遺伝子の増強が有力名候補と考えられる.本実験系の妥当性の検証を兼ねて,CALB1発現とsteroid耐性の関連について評価を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子検索の結果、複数の臓器における遺伝子発現の変化を比較し得た.このうち、副腎転移においては、特にsteroid耐性遺伝子であるCALB1が重要である可能性があり、細胞性状の評価により、steroid耐性の増強が認められた.本実験系の有効性が示唆される結果である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,副腎転移におけるCALB1発現に焦点をおいて検索を進める予定である.
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] マイクロアレイ解析を用いた肺癌副腎転移の臓器特異性規定遺伝子の検索2012
Author(s)
吉増達也, 尾浦正二, 太田文典, 平井慶充, 内藤古真, 中村理恵, 田中由美, 池田雅子, 川後光正, 大橋拓矢, 粉川庸三, 岡村吉隆
Organizer
第71回日本癌学会学術総会
Place of Presentation
札幌
Year and Date
20120919-21