2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21390410
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
滝 和郎 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70144368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 聡 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (50252367)
阪井田 博司 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40273362)
朝倉 文夫 三重大学, 医学部付属病院, 助教 (90322362)
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Keywords | 脳血管内治療 / デバイス / 生理活性物質 / コイル / ステント |
Research Abstract |
脳血管内治療は、良好な治療成績から適応が拡大する一方で、限界点や問題点も明らかになってきた。脳動脈瘤コイル塞栓術においては、動脈瘤の形態に制限され完全閉塞が得られない症例があること、特に動脈瘤の入口部の閉塞が不完全のため、再発の頻度が少なくない等の問題がある。また、頚動脈ステント術では、遠位塞栓をいかに防ぐかが問題となっている。さらに、コイルやステントは金属製の異物であるため、血管内に留置した際の血栓形成や炎症反応に留意しなければならない。そこで、これらの諸問題を解決し、安全かつ確実な脳血管内治療を行うために、従来にはない全く新しい発想のデバイスや治療法を開発する必要に迫られている。本研究では、薬理学・再生医学より得られた最新の知見を基礎に、脳血管内治療に対してより安全かつより治療成績の向上を得られるデバイスの開発を行った。はじめに、硫酸化ジェランを、脳動脈瘤塞栓術に用いるプラチナコイルの中に通す伸展予防用(ストレッチレジスタント)の糸として使用し、Tenascin-C(TNC)を結合させることにより、通常のプラチナコイルと物性は変わらずに生理活性のみを高めたコイルを製作した。また、高分子素材(ポリウレタン)によるナノファイバーを作成し、それを用いてステント表面に非常に薄い被膜を形成し、理想的な柔軟性を持ったカバードステントを作成した。さらに、頚動脈ステント留置術(CAS)の際に用いられるポリウレタン製の遠位塞栓防止用フィルターデバイスを、ウロキナーゼコーティングすることにより抗血栓性を付加することが可能となった。今後は、これらの研究成果をもとに実臨床で使用可能なデバイス開発を行う予定である。
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