2011 Fiscal Year Annual Research Report
卵子加齢にみる老化のメカニズムと発生能への影響を探る戦略的基盤研究
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21390456
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
阿久津 英憲 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 室長 (50347225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜谷 敏生 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60265882)
豊田 雅士 (地独)東京都健康長寿医療センター, 研究副部長 (50392486)
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Keywords | ES細胞 / 卵細胞 / 網羅的遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
世代をつなぐ生殖であるが、哺乳類の生殖では、加齢による生殖機能の不可逆的低下を起こす。特に、ヒトでは初産の高齢化はその生殖と加齢の生物学的事象と大きく関連してくる。米国の卵子ドナーを利用したART享受による出生率のデータから、加齢とともに卵子の機能の低下が明らかになった。卵子ドナーを利用すると年齢に関係なく高い出産率が得られることから女性30歳以降の妊娠率低下は、加齢による卵子の質の低下と強く関連していることが示唆される。個体の加齢に伴う卵子の質低下は,ミトコンドリア機能低下に代表される細胞質の機能低下が胚発生低下の大きな要因とされているが、それによる代謝活力減少だけでは個体への発生率低下の十分な説明ができない。それでは生殖適齢と加齢個体からの成熟卵子(第二減数分裂中期卵)の質の差異を卵子で評価する技術は無く、加齢が卵子全能性に及ぼす影響を知ることは非常に困難であった。本研究では、細胞質内のミトコンドリアなどの一部の器官機能に着目するのではなく、卵子の本質をとらえていく。一つの細胞から身体各組織の細胞へ分化する能力、つまり卵子の全能性機能に着目する。しかし、哺乳動物の卵子の質研究を非常に困難なものとしている。更に、卵子一つを対象にして分子レベルで分化能力を評価することは、技術的に不可能であるため、対象を受精卵から発生を少し進めたポイントの胚盤胞に移し、卵子の質をES細胞へ投影されれば加齢卵子の質低下、つまり全能性能低下の原因を知ることが出来る。樹立した加齢卵子由来の加齢ES細胞の特性解析として、網羅的遺伝子発現解析から抽出できた関連遺伝子群について、in silicoから細胞機能性を出してきた。加齢ES細胞の特性について、多分化能解析とin vivoで三胚葉各組織への多分化能を解析を統合的に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加齢ES細胞を複数樹立し、複数細胞株での検証を終了し、表現型が共通したものであることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した多能性幹細胞をゲノムワイドな解析へと展開する。
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