2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノミクスとセロミクスを用いた神経芽腫・肝芽腫の発生機序解明と分子標的療法の創出
Project/Area Number |
21390474
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00218744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
升島 努 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10136054)
外丸 祐介 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 准教授 (90309352)
檜山 桂子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (60253069)
上松瀬 新 広島大学, 病院, 病院助教 (90569881)
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Keywords | 癌 / がん幹細胞 / 神経芽腫 / 肝芽腫 / プロテオーム / マイクロアレイ / マイクロRNA / 小児がん |
Research Abstract |
小児腫瘍は、分化異常に起因した腫瘍は予後良好であるが、悪性度の高い腫瘍は脱分化したがん幹細胞が存在し、高頻度に再発する。そこで、本研究では、後者からがん幹細胞分画を分離し、前者由来の腫瘍細胞(分化異常細胞)、さらに正常細胞の3者の差を一細胞解析(セロミクス)を中心に細胞レベルで検討してきた。神経芽腫、肝芽腫臨床例のうち、無治療で初代培養にて腫瘍細胞のみ選別しえた78検体と樹立株12株を用いた。細胞株からTERT発現とサイドポピュレーションから得た幹細胞分画は、スフィンゴミエリンやAFPが抑制され、Nestin,c-kit,Bim-1やNotch-1の発現が上昇していた。この細胞の1細胞解析でも分化因子が発現せず、Bim-1等の未分化維持因子のみが同定された。これらに、ALK変異、βカテニン変異の導入を試みたが、導入効率が不良で、現在導入法を再検討している。一方、次世代シークエンサーにがん幹細胞に特有の遺伝子変異を検索し、その候補部位を22箇所同定した。現在、この変異箇所を詳細に分析している。さらに候補ペプチドからのパスウェイ解析を行い、既に解析済みの遺伝子変化や遺伝子発現変化からのパスウェイと照合し、がん幹細胞に特有のパスウェイの候補としてWntシグナルと細胞増殖さらにHedgehog経路が連動していた。神経芽腫がん幹細胞に特異的な発現亢進した産物の遺伝子2個を細胞株にてsiRNAでノックダウンすると、一部で分化し、microRNA解析データから抑制されている遺伝子を導入すると分化とともに細胞増殖が停止した。これらの遺伝子の遺伝子改変マウスの作成を継続した。現在、詳細なパスウェイ解析ともに、1細胞PCR技術も導入してがん幹細胞を選別するとともに、変異型ALK・βカテニン遺伝子導入細胞のセロミクス解析を継続して遺伝子変化からとプロテオミクスの両面からの検討を継続している。
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